アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#45
2016.11

本、言葉、アーカイヴ

後編 共有し、受け渡していくために
4)”関わりしろ”を見つけ、未来につなぐ
3.11オモイデアーカイブ 佐藤正実さん(3)

昭和に撮影された写真を見て、わたしたちが想像力を働かせるように、この先を生きるひとたちが今の写真を手がかりにして、この時代に思いを馳せることもあるだろう。そのときに、少しでも多くのことを受け取ってもらいたいと佐藤さんは考えている。

———写真を撮ったひとがどんな想いで撮ったのかとか、そのとき何を思ったのかを一緒に伝えてあげるのが大事だと思います。震災が起こった後、365日当たり前のように開いていたコンビニが開いてないというのは、今まで見たことのない風景なんですね。しかし、それをただ撮るだけでなく、なぜ撮ったのか、どう思ったかを残さないと、100年後にコンビニがなくなっていたとしたら、まったく伝わらない。自分たちで編集して残しておくことは、将来のひとへの使い方のプレゼンでもあるんですよね。

写真とともに、言葉で伝える。今と未来を考えながら、さまざまに試みるいっぽうで、写真によって「言葉を引き出す」ことも行っている。

———「はじまりのごはん」は去年、中学校でワークショップを「わすれン!」と一緒に行ったんです。5年前、今の中学1年生は7歳。おそらく震災を語れる最後の世代です。その下は体験はしていても、なんとなく覚えているだけで言葉にできない世代なんですね。吸い込まれたことを口に出していくために、何度もアクセスすることで記憶になるし、言葉になると思うので。

言語化されなかったことが、何かを手がかりに言葉になってあらわれでる。子どもに限らず、そのようなことが震災後は起こってきたと思うけれど、その瞬間を想像すると、それこそ言葉にならない感情が湧いてくる。それもまた、未来につなげる大切な取り組みなのだと思う。

———だからこそ、誰かが(アーカイヴづくりを)やってくれるだろうじゃなくて、市民がやらないといけない。“関わりしろ”はそこなんですよ。
タグ付けするならみんなでして、もっと思い出を重ねたほうが本当はいい。活用しながら残して、をずっと繰り返すものだと思うんです。作業そのものも業務委託されたオペレーターが行うのではなく、市民の生活のなかに落とし込んでいきたいですね。

つねに更新されながら、動いていくもの。それぞれで関わりながら、他のひととも、過去も未来も、遠くのことも、なんらかのかたちで自分とつながっていると感じられるもの。アーカイヴとはそのような存在なのだと思う。

わすれン!の活動は層が厚く、きめこまやかだ

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