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#215

研究環境の快適化
― 野村朋弘

研究環境の快適化

(2017.05.14公開)

いま、この原稿を新幹線の車中で書いている。
今日は毎月恒例の京都出張の日なのだ。
職場と自宅とでは、細々とした仕事や、また子供からの誘惑が多々あって、なかなか原稿が書けない。職場と自宅の通勤時間は1時間以上あるものの、やはり周りの混雑も考えると文章を書くというのは難しい。
翻って、新幹線の車中というのは、とても快適だ。
チケットの確認もなくなったので、邪魔されることなく、レポート採点や原稿書きにいそしむことが出来る。また、関東から京都までの約二時間というのも、時間区切って集中するのにちょうどよい。自宅から淹れてきた珈琲を飲みながら快適に原稿が書ける。

このところ、よく持ち歩いているのは写真のMacBookである。しかし私にとっては初めてのMacである。MicrosoftのMS-DOSからスタートして、これまではWindows機ばかりを使用してきた。サーバをいじる時もLinuxかWindowsであった。
歴史学の周辺でいえば、表計算は桐を使う人がいたり、数年前まで論文投稿はフロッピーで、という規定が遺されていたのをみたこともある。データベースなどもWindows95が出た時にすら、DOS版のものが発売されたりする。
なんてニーズにマッチングしていないんだと思われるかも知れないが、さにあらず。
歴史学のデータベースの要諦は、史料などのデータ入力にある。この入力作業が最も時間がかかるのだ。そのため、データベースの構想が出来た時と、実際に完成した時との時間差によって、そうしたとことがまま起こりうるのだ。
実際問題として、データベースのメタデータをどう設計して構築していくのか、20年先、50年先も見据えてユーザの利便性を勘案して設計しなければならない。
ここまで話を書いていくと、気づかれる方もいらっしゃるだろう。そう。古き学問大系である歴史学においてもデザイン的な思考は必要不可欠なのだ。
古典的な学問だからこそ、必要なのかも知れない。
それぞれの学問領域においてデザインや情報学といった手法や方法論も導入していくことは喫緊の課題である。

話題をMacにもどそう。
辞典などの工具類もWindows限定で発売されることが多かったことも、MicrosoftのOS機を使い続けた理由だと思う。
1990年代にMS-DOSをいじって愉しんでいた頃、パソコン情報誌『アイコン』を愛読していた。『アイコン』に掲載されていた水玉蛍之丞さんの「こんなもんいかがっすかぁ」に登場していたMacは、どこか遠い世界のこととして読んでいた記憶がある。そこからMacと自分とは別世界。と思っていたフシがある。
しかし、時代は移り変わり、工具類のApplicationSoftもWindowsとMacともに出されている時代となった。
また、美大で仕事をするようになると、会議でWindows機をいじるのは自分ひとりという状況がままあった。そんなに使い勝手がよいものなのか。ということで、ついにMacユーザとなったのであった。
使い倒すというよりは、仕事のやりとりをする、原稿を空いた時間に書き溜めておくといったライトな使い方に終始しているが、とても快適だ。
PCはあくまで研究や仕事の道具である。自身のニーズにどこまで応えているかでセレクトされる。快適さは、原稿の筆の速さにもつながる。

こうして、同僚の先生が常々話しをされている学習環境(学ぶ場所をつくる・学ぶ道具をつくる・学ぶ仲間をつくる・学ぶ自分をつくる)は、研究環境にも相通ずるなと感じ入るのだった。