宮城県仙台市の八木山動物公園に、ベーブ・ルースの像があることをご存知でしょうか? なぜ仙台市に、しかもどうして動物公園に、とさまざまな疑問が湧いてくることでしょう。そこで、その歴史について、紐解いてみたいと思います。
ベーブ・ルースは言わずと知れたアメリカ球界屈指の名プレイヤーです。二刀流の先駆けであり、シーズン60本塁打達成、アメリカ野球殿堂入り第1号など、その伝説や記録の数々は枚挙にいとまがありません。また、貧困家庭出身の不良少年で、矯正学校を経てプロ野球入りしたそのサクセスストーリーや、愛きょうのあるキャラクターもファンの心を惹きつける要因のひとつでもあります。
ベーブ・ルースはプレイヤー時代後期の1934年(昭和9年)11月9日に仙台市を訪れています。全米大リーグの選抜メンバーとして日本各地を巡り、日米対抗親善野球全18試合をおこなったのです。そのうち、第4戦目は仙台市の旧八木山球場で開催されました。この試合の3回裏、ベーブ・ルースは来日第1号のホームランをスコアボード右に打ち込んだのです。続く8回裏にも第2号のホームランを放つなど、大活躍をみせました。これを記念して、八木山球場の第1号ホームラン落下地点にベーブ・ルースの像が建立されたのです。その後、野球場は使用されなくなり、跡地に八木山動物公園が開業しましたが、ベーブ・ルース像はその場所のまま、残されることとなりました。現在は動物公園のアフリカ園に位置し、アフリカゾウやキリン、フラミンゴなどの展示の傍で、堂々たるスウィングのベーブ・ルースは静かに存在感を放っています。
今年はコロナ禍によりプロ野球の開幕が遅れ、高校野球もイレギュラーな開催となるなど、野球ファンにとっては少し寂しいシーズンとなりました。そこで気分を換えて、野球の神様ベーブ・ルースに会いに訪れてはいかがでしょうか。のんびりと動物公園を散策しながら、80数年前のホームランの軌跡に思いを馳せてみるのも楽しいかもしれません。
(成田有紀子)
八木山動物公園
https://www.city.sendai.jp/zoo/
〒982-0801 宮城県仙台市太白区八木山本町1-43