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アネモメトリ -風の手帖-

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#124

日本フィギュアスケート発祥の地、五色沼
― 宮城県仙台市

五色沼は、仙台市青葉区川内の青葉山公園内にある水堀です。現在は仙台市博物館の入口に位置していますが、元々は仙台城(青葉城)を囲む外堀の一部で、三の丸の北側から大手門隅櫓の前にかけて広がっていました。
この五色沼は、日本におけるフィギュアスケート発祥の地とされています。はじまりは1890年(明治23年)頃、仙台市在住の外国人がスケートを滑ったことがきっかけとなったようです。諸説ありますが、 1897年(明治30年)頃にアメリカ人宣教師のデビソンが子供達にフィギュアスケートの手ほどきを始め、1909年(明治42年)頃に旧制第二高等学校(現東北大学)の学生がドイツ語教師のウェルヘルから教わり、アウトカーブという片足でカーブを曲がる技術を習得したとされています。その後、旧制第二高等学校の卒業生は、日本各地でフィギュアスケートの指導や普及に努めました。その功績を讃え、この地が日本フィギュアスケート発祥と呼ばれるようになったようです。
当時の五色沼は、冬になると厚く凍結し、天然のスケートリンクとなっていました。しかしながら、地球温暖化の影響か、近年では薄く氷は張るものの、とても人が氷上に乗れるまでには至りません。現在は周囲に柵が整備され、かつてスケートリンクだった面影は見られませんが、「日本フィギュアスケート発祥の地」を示す記念碑と、ペアスケーターをモチーフとしたブロンズ像が建てられており、歴史を今に伝えています。
その後奇遇にも、この仙台市から荒川静香さん、羽生結弦さんという偉大なフィギュアスケーターが誕生しました。現在、五色沼最寄りの地下鉄国際センター駅には、荒川さんと羽生さんのオリンピック金メダル獲得を記念したモニュメントが設置され、仙台市民のみならず、各地からフィギュアスケートファンが途切れることなく訪れる聖地として親しまれています。

(成田有紀子)

五色沼

五色沼

地下鉄国際センター駅前にある荒川静香さん、羽生結弦さんのモニュメント

地下鉄国際センター駅前にある荒川静香さん、羽生結弦さんのモニュメント