宮城県仙台市中心部の目抜き通り、東二番丁通から道を逸れてすこし入ると、ビルや店舗が立ち並ぶ一角に島川美術館があります。外観は一般的なオフィスビルで、あやうく見過ごしそうになりますが、そこにはたしかに「島川美術館」の看板が掲げられています。
館内は1階が受付、2階から5階までが展示室となっており、エレベーターで5階まで昇り、階下に降りていくのが順路。展示室に一歩足を踏み入れてみると、その多彩なコレクションの数々に大いに驚かされます。
5階では、島川美術館の主要コレクションのひとつである「特別展 写実絵画の巨匠 森本草介」(1)が開催されていました。その繊細で端麗な作品の数々には、誰もが思わず息を呑んでしまうでしょう。続いて4階は、洋画、西洋ガラス、陶器のフロア。梅原龍三郎や佐伯祐三、ユトリロ、シャガールの油彩画、ガレのランプ、楽茶碗など、 国内外の名品で溢れています。3階と2階は日本画のフロア。ここでも、横山大観、東山魁夷、平山郁夫、千住博などの巨匠作品をはじめ、充実のコレクションがずらりと並んでいます。ほどよく照明の落とされた静かな展示室で一点一点を眺めていると、いま居る場所を忘れてしまうほど作品に引き込まれていくのがわかります。教科書に載るような名作が取り揃えられた、見応えのある美術館です。
島川美術館は当初、2013年に宮城県蔵王町に開館しました。蔵王連峰を臨む雄大なロケーションのなかで美術品の数々を鑑賞する贅沢なひとときが、どれだけ来館者の心を掴んできたでしょうか。その後、2019年3月に現在の宮城県仙台市にリニューアルオープンし、交通至便なエリアに移転してきたことで、島川美術館はぐっと私たちの身近な存在になりました。街ナカにありながら、喧騒を忘れ心洗われる癒しのスポットにぜひ訪れてみてください。
(成田有紀子)
(1)
「特別展 写実絵画の巨匠 森本草介」は 2019年3月20日から9月23日まで開催
島川美術館
http://shimakawa-museum.jp