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アネモメトリ -風の手帖-

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#41

安藤百福センター
― 長野県小諸市

安藤百福センターは、長野県小諸市にある自然体験活動の指導者養成やカリキュラムの研究・開発を目的とした施設。正式には「安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センター」といいます。微妙に色が違う黒い金属板の屋根がまっすぐ続き、存在感がありつつ風景に溶け込む建物は建築家隈研吾の設計によるものです。設備としてカンファレンスルームや食堂、浴室や宿泊室もあり、都会から離れた大自然の中で学習や研究活動が行える施設です。アートディレクター・浅葉克己氏による緑と黒で構成されたセンターのロゴマークも印象的です。
日清食品の創業者で「チキンラーメン」「カップヌードル」をつくり出した功績で広く知られている安藤百福氏は「食とスポーツは健康を支える両輪である」という理念を持ち、1983年に安藤スポーツ・食文化振興財団を創設。子どもたちの成長を願ってスポーツや食文化の振興に力を注ぎました。さらに自然体験活動の重要性を説き、この小諸の安藤百福センターが「自然体験活動指導者養成」の理念を掲げて2010年に開設されたそうです。
先日、私の勤務する大学の新1年生を連れて、初年次教育プログラムの一環として、交流と体験のセミナーに出かけました。火を使う調理実習や自然体験学習などを通じて、学生同士や教職員交流を深めました。散策のルートにもなっていた建物の裏手に続く敷地には「小諸ツリーハウスプロジェクト」によってつくられた、カラフルなツリーハウスが点在しています。nendo、古谷誠章、佐藤可士和などによる作品です。すぐれた建築や環境、美しくて豊かな自然の中で活動することの積み重ねが、文化芸術に対する感覚を磨きます。その時はあまり意識していなくても、クオリティの高いものやおもしろいものに触れ続けることが感性を育み、のちに体験の厚みとなって生きてくることでしょう。

Web:安藤百福センター

(山貝征典)

自然に溶け込む、隈研吾氏の設計による建築。

自然に溶け込む、隈研吾氏の設計による建築。

散策の途中にカラフルなツリーハウスが現れます。

散策の途中にカラフルなツリーハウスが現れます。

自然体験学習をする学生たち。

自然体験学習をする学生たち。