「山で食べる朝ごはんはサイコーダヨネ!」という話。それでは、山に登らない者はそれを味わうことができないのでしょうか。アウトドアグッズを機能性に憧れて身に着けてきたものの、火おこしや虫が苦手なインドア派。趣味はNHK杯テレビ将棋トーナメントの観戦と温泉。そんな善男善女のみなさんへ。今回は、山に登らずとも味わうことができる「山で食べる最高の朝ごはん」をご紹介します。
大河ドラマで人気沸騰中の長野県の松代(まつしろ)ではなく、大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ(次回は2018年開催予定)の開催エリアのひとつ、新潟県の松代(まつだい)は、山深い丘陵地帯。訪れた季節は夏、野に花咲き誇る素朴な村の風景、美しい棚田を鏡に宿る夜の月、濃密な雲海を眺めつつ浸かる温泉、そこには言葉では言い尽くせない美しい里山とアートが待っていました。滞在中の宿は「山ノ家 カフェ&ドミトリー」です。そこで出会った忘れられない朝のひとときがあります。
山にいるとなぜか早起きをしてしまいます。空気がヒンヤリと冷たくて気持ちのいい朝。目覚ましがてら朝の散歩に出かけてみました。山ノ家から歩いて10分ほどで、松代の総合文化施設《まつだい「農舞台」》が見えてきます。草間彌生の《花咲ける妻有》に朝の挨拶をしてのんびりと過ごしていると、ちょうどお腹がすいてきて、そろそろ朝ごはんの時間です。
山ノ家の食卓に並ぶのは紫蘇香る冷汁、ジューシィな小エビのだし巻きたまごなど。地場産の野菜たっぷりの朝ごはんは、里山の素材と都会の洗練を感じさせる忘れられない味でした。とにかくどれもこれもおいしいのです。里山で元気に育ったしっかり甘いお米に、忘れられないのは妻有ポークのやわらかさ。こんなに心に残るのはなぜなのでしょう?
これが「山ノ家で食べる最高の朝ごはん」。「朝ごはんを食べに松代に行く」、そんな旅もいいのではないでしょうか。もちろんアートもごいっしょにどうぞ。
山ノ家 カフェ&ドミトリー
〒942-1526 新潟県十日町市松代3467−5
https://www.facebook.com/YamanoieCafeandDormitory
(山貝征典)