9月8日(土)、9日(日)に尾道で初めて陸上競技場を使った大きなコンサート「しまなみロマンスポルノ‘18」が開催されました。これは尾道市因島出身のバンド・ポルノグラフィティの結成20年目のスタートを祝う記念コンサートで、彼らの出身地で行われたこともありコンサートの前から熱心に観光する若いファンの姿が地元で話題になりました。あいにく2日目は大雨のため中止となりましたが、多くのファンは因島まで雨のなか足を運んだそうです。私にとってはいつもの因島ですが、それはさながらビートルズファンが、“聖地”リヴァプールを訪ねるような心境だったのでしょうか。
普段、子供を後部席に乗せて車で走っている道のバス停。そこから因島へと続く路線バスが出ています。ある日、ふと思い立って尾道駅前から因島行きのバスに乗り込みました。地元住民ではなくひとりの観光客として。尾道駅を出ると左手には「坂の町・尾道」を象徴するような街並みと線路。バスは車高が高く、込み入った小路の奥までよく見えます。よく知った風景の中を走り抜けて尾道大橋を渡ると、眼下に尾道水道と普段自分がいる場所の地形が臨めます。まるで飛行機に乗っている時のように、いよいよ本格的に現実とオサラバという気分になってきます。バスが尾道市街の対岸である向島を走り抜け因島大橋にさしかかると、両脇にはどこまでも続く広い海。そして本土から数えてたった2つの橋を渡った先にある因島に到着すると、私はすっかり観光気分になっていました。
バスを降りた場所にレンタサイクルの看板を見つけたので、自転車を借りて走ってみることにしました。ここから次の島に自転車で渡るか、海沿いを走るか、それとも商店街を探索するか。あれこれ思いを巡らすことがとても新鮮です。
ある人にとっての聖地や非日常は、意外と身近なところにあるものです。
空を描く