北京市朝陽区は、各国大使館や大企業のオフィスが立ち並ぶビジネスタウンであり、たくさんの外国人が集中して住んでいる地域でもあります。中でも亮馬橋という地域には、日本やアメリカをはじめ、主要国の大使館が集まっています。そのため、日本人も数多く住んでおり、日本食レストランが立ち並ぶ通りや日本の食材を販売している店はいつもにぎわっています。
さて、この亮馬橋には亮馬河という川が流れており、10年ほど前はお世辞にもあまりきれいな川とは言えませんでした。しかし、数年前から川の周辺を整備しはじめ緑地化が進みました。コロナの期間中、レストラン内での食事が禁じられた時、この川岸に外国人や若者が集い飲食する姿が見られました。コロナが落ち着きをみせると、まず川岸に以前からあったレストランが屋外席を拡大しました。また、周辺には多くのベンチが設置され人々が集えるようになり、遊歩道が整備されたことで川沿いを何キロも連続して歩行できるようにもなりました。夜になると、川岸一帯と橋が美しくライトアップされ、夕食後の散歩には最適です。観光船もこの3月から運航を開始し、ライトアップを眺めるクルーズが人気を博しています。
気候の良い5月ごろまでは、川辺でピクニックを楽しんでいる人を多く見かけました。6月中旬には、気温が41℃まで上がり記録的な暑さとなり、この亮馬河で週末に川遊びをする外国人や若者が増え賑わっています。水泳や釣りをする年配の人は以前からいましたが、ボートやパドルボートをする若者が増えました。最近ではカヤックやボートのレンタルも営業が始まりました。そんな風景を目にすると、ここがオフィス街だということを忘れさせられます。
高層ビルが立ち並び、幹線道路の下を流れる川です。このようにアウトドアを楽しむ光景は少し異様にも映りますが、川の環境改善によりまさに都市のオアシスとなりました。この夏、都心のど真ん中で気軽にアウトドアを楽しむのが新しいトレンドとなりそうです。
(厳 有佐)