日中国交正常化50周年を迎えた今年は、両国で様々な教育、文化、経済や地域交流などの記念イベントが開催されています。例えば日本では、「兵馬俑と古代中国 秦漢文明の遺産」という文物展が各地の美術館で開催されました。中国では、セレモニーや日本文化や企業を紹介するイベントが北京を中心に開催されています。
今回は、日中国交正常化50周年記念事業の公認行事として、外務省のホームページにも掲載されている「第3回南嶺イラストビエンナーレ(第三届南岭插画双年展)」(会期:11月16日-11月25日)を紹介したいと思います。このイベントは、北京から1800キロ離れた、広東省北部に隣接する湖南省郴州市にある湘南学院で開催されました。これまでの「南嶺イラストビエンナーレ」は様々な国や地域に作品を募ってきましたが、今回は日中国交正常化50周年記念ということで公募を日本と中国に限定しました。両国合わせ917人による1976点の作品の応募があり、日中の審査委員によって103点の作品が選出されました。11月16日に行われた開幕式には、日本国駐中国大使館の貴島善子公使がビデオメッセージを送り、「日中の挿絵画家やイラストレーターを目指す芸術家の卵たちに表現の場を提供し、かつ人々に国境を越えて作品を鑑賞し合う機会を与えうる」と語り、開催の意義を高く評価しています。
本来なら、国交正常化50周年という大きな節目となる今年は、両国間を大勢の人が行き来するもっと盛大なイベントなども行われたはずですが、いまだ中国は厳しい防疫対策が続いています。入国者に対して8日間のホテル隔離などがあり、大規模なイベントの開催が現在でも困難な状況です。しかし、このような時期だからこそ、芸術の持つ力は発揮されるのではないかと思っています。お互いの国に心を馳せ、言葉は通じなくとも芸術によってお互いの心を伝えることはできるのではないでしょうか。そして、やがてコロナの収束とともに、両国の人々の交流が盛んになり、お互いがいい刺激を与えあえる関係となることを私は期待しています。
参考
第三届南岭插画双年展在湘南学院开幕 腾讯新闻
https://new.qq.com/rain/a/20221117A0199A00.html
(厳 有佐)