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アネモメトリ -風の手帖-

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#214

はらこ飯で、東北の秋を感じる
― 宮城県亘理町

東北の夏は短く、8月の終わり頃から肌寒い日が多くなってきます。
日も短くなり夕暮れ時になると、そろそろ「はらこ飯」の時期だなと感じます。
宮城県の郷土料理では、「牛タン」「ずんだ」がとても有名ですが、もうひとつ、地元民に愛されているのが「はらこ飯」です。
脂の乗った鮭の切り身を、醤油や酒、生姜などで煮込み、その煮汁と鮭をご飯と一緒に炊き上げ、最後にいくらの醤油漬けをどっさりとかけたもので、9月から11月が旬の郷土料理となっています(地域や家庭によってつくり方が少し異なります)。近年メジャーになってきた郷土料理かもしれませんが、その歴史について知る方は少ないかもしれません。

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はらこ飯は阿武隈川河口の漁師町である宮城県亘理町で生まれた郷土料理です。
亘理町は昔から鮭が水揚げされる漁師町として有名で、江戸時代には鮭の地引網漁が盛んでした。亘理町荒浜地域で水揚げされた鮭は良質で、地元で消費されるだけでなく、藩主や将軍家にも献上されるほどでした。
はらこ飯は元々、亘理町の漁師たちが大漁の時などに食べる漁師飯でしたが、仙台藩主の伊達政宗公が視察に訪れた際に献上されたはらこ飯を気に入ったことで評判となり、他地域にも知られるようになったといわれています(註1)。

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歴史を知ったことで、より味わい深くなるはらこ飯を、今年初めてつくってみました。
炊き上がったホカホカなご飯と、味の染みた鮭、冷たいいくらを頬張る瞬間は何にも変えられない幸福感に包まれます(冷たい状態でも美味しいです)。
また、はらこ飯の醍醐味は、家庭によって、さらには提供するお店によって様々なアレンジがされているところです。私はお店で食べたことがないので、今年は色々な味に出会えるといいなと思っています。
工夫が詰まったはらこ飯。これから宮城県を訪れる方にはぜひ食べていただきたいです。

参考
(註1)
【宮城県】【はらこ飯】とは?発祥・由来と作り方を解説 | にっぽんの郷土料理観光事典
https://kyoudo.kankoujp.com/?p=1449

はらこ飯 宮城県 | うちの郷土料理:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/harako_meshi_miyagi.html

(髙倉彩乃)