アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

最新記事 編集部から新しい情報をご紹介。

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

TOP >>  特集
このページをシェア Twitter facebook
#0
2012.12

「本」でつながる、広がる ひととまち

前編 東北の場合、仙台
1)リトルプレス、ローカル、東北

ローカル発のリトルプレスが増えてきている。リトルプレスとは個人や小さなユニットで制作し、流通システムを通さずに販売する小規模な雑誌をいう。いわゆるミニコミ誌、同人誌、zine、自費出版の制作物なども広くは含まれ、有志がつくりたいものをつくって、読んでもらいたいひとに届ける、というメディアである。雑誌制作がパソコンソフトで簡単にできるようになったこともあって、アートやサブカルチャー、生活文化、趣味などさまざまなジャンルにわたり、ヴァラエティも豊かになって、裾野がいっそう広がってきた。

そのリトルプレスのなかでも、目立っているのが自分たちの住むまちや場所に根ざした、ローカルマガジンだと思う。リトルプレスを扱う書店などでは、コーナーを設けているところもある。全体にクオリティが高く、地方の文化や風土を、今そこに暮らすひとたちの感覚で新鮮に切り取っている。ぱらぱらめくると、ああ素敵だな、行ってみたいと思わせる。

とりわけ、いいなと思う雑誌は東北発が多かったりする。東日本大震災の後に出版されたものももちろんあって、「東北」というボリュームをつくり出していると思うのだけれど、それだけではない。むしろ、それ以前に刊行されていたり、出版しようと進めていたもののほうが多いのではないだろうか。