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アネモメトリ -風の手帖-

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2012.12

「本」でつながる、広がる ひととまち

前編 東北の場合、仙台
8)リトルプレス『ふきながし』 まちの一部となる

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リトルプレス『ふきながし』を手がける吉岡英夫さんも、自分たちの冊子でまちとひとをつなごうとしている。「仙台の好きなひとやもの、場所を紹介して、好きな店に置いてもらっています」。コーヒー、レトロモダン、早起き、手紙、部屋などの身近なテーマで、30頁前後の冊子を年に2回。最初のころは頁を作成してはインクジェットプリンタで出力していた。リトルプレスを出すところはどこもそうだが、制作から納品まで、すべて自分たちで行う。あくまで手におえる範囲で、届けたい人に向けて作り、売っているというリアリティがある。

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いっぽう、吉岡さんは妻のユリコさんとともに雑貨とカフェの店「stock」を営んでもいる。「アトリエショップ」とおふたりが呼ぶように、ノートやメモ帳、マスキングテープなどの文房具や雑貨とともに、セレクトした国内外のリトルプレスやアートブック、ネット古書店「海月書林」の棚など本や雑誌を置いている。好きなものだけを集めた空間には、『ふきながし』の誌面と同じ空気が漂っている。「stock」から生まれる空気も併せて、自分たちなりの「仙台」を伝えようとしているのではないだろうか。「冊子そのものが「ひとつのまち」に見えるように、と思っています。まちの一部でありたい、「ふきながし」でまちを応援したいと思っているんですね」。

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