社会とデザインについて、イタリアの事例をもとに考える4回連続の最終回。
ここまで、イタリアで1960年代以降に生まれたデザイン活動「プロジェッタツィオーネ」、その実践者「プロジェッティスタ」のアトリエを訪ねるところから始めて、彼らの思想や価値観に通じるような現代のプロダクトや絵本の制作、さらに地域を変える社会的な活動もみてきた。
最終回となる今回は、これまでの3回を振り返りながら、社会を変えうる創造力のありかたを中心に、この特集のナビゲーター、多木陽介さんに話を伺っていく。
批評家でアーティストの多木さんは、1988年にイタリアに渡った。90年代末にアッキレ・カスティリオーニに出会い、社会的で人間的なデザインがあることを知る。その後、カスティリオーニをはじめ、ブルーノ・ムナーリやエンツォ・マーリなどのプロジェッティスタの思想と実践を研究するとともに、現代の実践者たちを訪ね、彼らの取り組みに可能性を見いだしてきた。さらに、日本から彼らを訪ねる教育的なプログラム「移動教室」も主宰して、参加者とともに学びを深めている。
多木さんが2024年10月に上梓された『プロジェッティスタの控えめな創造力 イタリアデザインの静かな革命』も参照しながら、このキーワードを掘り下げていきたい。
