青森県弘前市で活動を行う「津軽あかつきの会」(以下、あかつきの会)を取り上げる3回特集の最終回。この地域を拠点にした女性たちの集いであるあかつきの会は、地の料理を学び次世代に伝えていくのを目的に、毎週定期的に「食事会」をひらき、伝承料理を提供している。予約をすれば誰でも気軽に津軽料理を味わうことができるこの食事会が、いまの活動の軸だ。それは文化を絶やさないための手段であり、会の女性たちにとっての居場所づくりにもなっている。
あかつきの会は3つの柱、「ばっちゃ」「かっちゃ」「あっちゃ」で構成されている。これは津軽弁の言い方で、それぞれ「おばあさん」「お母さん」「お姉さん」のことを指す。「ばっちゃ」は会の大きな方針を決め、実際に台所を稼働させ会の背骨となるのは「かっちゃ」だ。「あっちゃ」はその2世代を見ながら、料理と工程とを頭で舌で覚えてゆく。
本特集はこれまで、第1回では「ばっちゃ」、あかつきの会の会長である工藤良子さんに会立ち上げから現在まで20年以上にわたって紡がれた思いを聞き、第2回では台所の「かっちゃ」たちの賑々しい台所を紹介した。最終回となる今回はまだまだ新米の、これからの会を担う「あっちゃ」に話を聞いた。30代〜80代までが在籍するあかつきの会にとって、若い世代はこの会の活動や地域の文化をどのように受け止め、そして振る舞っているか。あかつきの会のこれからの世代の言葉から、文化をつないでいくことのヒントを探ってみたい。