伝統産業を持続させていくためのしくみづくりが、日本各地で試みられている。作り手の高齢化や人材不足、使う側のライフスタイルの変化など、課題は多岐に渡っているが、それでも小さな希望の光は各地に灯り、地域を越えた連携を始めている。富山県南砺市井波で手探りしながら、現代の生活との接続を試みている人がいる。建築家の山川智嗣さんだ。
井波は「木彫刻のまち」として知られる。神社仏閣などを装飾する木彫りが中心で、きわめて高い技術が受け継がれ、精緻な装飾品をつくりあげてきた。
山川さんの試みとは、空き家をつくりかえ、木彫刻などの工芸とつないだ宿泊施設「Bed and Craft」。このまちや工芸に関心をもつ人たちとともに、まちの景色を変えている。
3号にわたる連載の初回は、まずBed and Craftとは何か、山川さんのそこにかける想いや、このユニークな取り組みがどのようにスタートしたのかを紹介したい。
1)友人をもてなす感覚で 空き家×地元工芸
2)三方よしの「マイギャラリー制度」
3)再来訪因子は、人との出会い「弟子入り体験」
4)まちのレコードジャケットのような存在として