子どもが育つ場をつくり、さまざまな試みを行う人たちが全国各地にいる。その場は同時に、子どもの親をはじめ、かかわる大人が育つ場でもある。子どもも大人も、そして場がある地域もともに育ち合う。そんな場づくりに挑戦する人たちがいる。
前号では、福岡市内で「いふくまち保育園」と「ごしょがだに保育園」の2園を立ち上げた酒井咲帆さんが、両園で地域や多様な人々を巻き込みながら取り組んできたユニークな場づくりについて紹介した。
一方、酒井さんは写真家として活動し、写真館を営んできた表現者でもある。現在、酒井さんが経営する株式会社アルバスは、5、6人のスタッフで、家族写真の撮影のほか、写真の現像・プリント・雑貨の販売、ギャラリースペースの貸し出し、トークイベントやワークショップなどを行っている。この事業も、保育園と同じように「多くの人がかかわり続けることができる、ひらかれた居場所」を思い描きながら進めてきたものだという。
今号では、写真の仕事や写真館のユニークな場づくり、また保育園をはじめた経緯について詳しく紹介したい。写真館と保育園という、一見つながりが見出しにくいふたつの場所を酒井さんはどうつないでいるのだろうか。