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#56

会議のデザイン
― 早川克美

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(2014.03.30公開)

今週は早川がお届けします。
良い議論が進む会議と、煮詰まって長いだけの会議、
みなさんも日々体験されていることと思います。
実は、良い議論が進む会議には「デザイン」が作用しているのです。
今日はそんなお話。

仕事をしていればつきものの「会議」。
会議が多い、会議の時間が長い、結論が出たのかわからない…こんな不満やストレスを持たれたことはないでしょうか?反対に、とても気持ちよく議論が進み、納得の行く結論が導き出せた…という経験がある方もおいででしょう。良い会議と悪い会議、この違いには「会議のデザイン」が大きく関わっています。人と人が協働するワークショップではプログラムの重要性が説かれているのに、もっと日常的な対話の場である会議が慣例的に行われ、デザインされていないことは実に残念なことです。いやいや、会議もデザインできるのではないか。ということで、具体的に会議のデザインのポイントをあげてみたいと思います。

◯場づくり(対話の環境デザイン)
会議の行われる空間や環境のことです。机や椅子の配置、出席者同士の間隔(距離感)等、意図的に作ってみてください。また、窓からの風景、部屋の絵画などの調度品、お茶やお菓子といった細かな道具立ては、議論が煮詰まった時に小休止できる要素として有効でしょう。

◯会議前にやっておくこと(プログラムのデザイン)
会議は会議の前から既に始まっています。場づくりと同時に、プログラムをつくることが重要です。この時、プログラムは単なる議事次第ではなく、その会議の議論のプロセスを導くものであり、その会議の到達目標を明示することがポイントです。そして可能であれば当日の資料は事前配布した方が良いでしょう。会議中の資料説明の時間を節約することができるからです。出席者は、会議プログラムに提示された到達目標と事前資料に基いて考えをまとめておくことができます。この事前の準備とやりとりが、会議本番での議論の活性化につながります。

◯いよいよ会議(可視化による情報の共有)
会議では、進行役がプログラムを円滑に進行させることに徹します。この時、出席者が発言しやすいような誘導を行うことが大切です。会議中の発言は、聞き流すことなく、可視化(その場で全員に見えるように)することで、議論のプロセスと到達目標までの距離を全員で共有することができるようになります。議論の硬直化や蒸し返しといったよくあるケースは、この可視化でずいぶんと改善するのではないでしょうか。そして、可視化された議論のプロセスは、最終的にその日の会議の到達点として、全員が納得するかたちで共有することとなります。次の会議の目標もブレることなく設定できることでしょう。

いかがでしょうか?
ここまで読まれた方の中には、「もっとこうすれば良くなる」というアイデアが浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これまでの慣習的な流れで会議を進めるのではなく、会議もきちんとプログラムとしてデザインすれば、充実した対話の時間となり、ストレスもずいぶんと減るのではないかと考えます。そして、会議のデザインは、会議のみならず、会議のデザインをきっかけとして対話の重要性を再認識することとなり、日常の業務にもきっと良い変化をもたらすだろうと思います。

身の回りの日常に、デザインの知恵を…。
それではまた!