アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#4
2013.04

新潟 「エフスタイル」がつむぐ、あたたかな「循環」

前編 エフスタイルのものづくり
8)“エフスタイル道場”は終わらない

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2人の作業分担はいつも自然と決まる。五十嵐さんが全体像をイメージし、星野さんが舵取りしながら細々したことを整えていくことが多い

2人は性格が正反対のようでもあり、似た者同士でもある。星野さんから見た五十嵐さんは「度胸がある、こわがらない、思い込みが強いひと」。五十嵐さんから見た星野さんは「マナーができている、ものごとを好みではなく平らに見られる、ひとに対して愛情があるひと」。性格が違うからこそ、互いを尊敬し合い、相手の意見に耳を傾け、歩み寄る。正反対でありながらも似ているという印象を受けるのは、2人がこの“歩み寄り”を、どんな小さなことでも、避けずにずっと続けてきたからではないだろうか。

———最近は、相手が今、何を食べたがっているかわかるようになってきました。時々、間違えますけどね(笑)。でも出張の時なんかは、大抵、着てくる服がかぶります。エフスタイルにとっては、すごく大事な感覚かもしれません。(五十嵐)

エフスタイルのことを話す時、2人がまるで3人目の仲間のように話すのも興味深い。

———さっきも野球チームに例えましたが、わたしたちも“エフスタイルに雇われている”という感覚なんです。何かする時には、エフスタイルさんにお伺いを立てるという感じ。(星野)

エフスタイルという思想、あるいは人格に“お伺いを立てる”。複数の人数で、コンセンサスをぶれさせることなく動くための働き方指南としても、かなり面白い考え方だ。
そんな2人に、仕事全体のなかで“最も充実感”を感じるのはどんな時か、聞いてみた。

———つくり手さんに月々のお支払いをした時ですね。今月このひとにこれだけ払えた、と数字を見た時に充実感を感じます。(星野)

とはいえ、自分たちのことは、意外に“どんぶり勘定”だそうだ。

———掛け率とか利益率を気にしすぎると、割に合わないことをしなきゃいけなくなった時に、動きがにぶると思うんです。でも、わたしたちのやりがいは、割に合うかどうかというところにはないから。それよりも、仕事を通して、知らなかった自分の感情に出合ったり、いろいろなひとの働き方や考え方に触れられることが嬉しい。(星野)

これまでに、悩んだり、やめたくなったりしたことは、ないのだろうか。

———つくり手さんと売り手さんの間に立ち、無我夢中でやるうちに、やめられない状況ができていました。なんとしても続けなければ、と。そうすると明日やるべきことが見えてきて、忙しくて、悩んでいるひまもなくなりました。不思議なもので、そう覚悟すると回り始めるものなんですよね。(五十嵐)

もがくことは苦しいことではない。つじつまの合わないことを、自分で考え、工夫して、絶妙なポイントを見つけて帳尻を合わせていく。そこに面白さがある、と2人は言う。

———わたしたち、逆境好きなのかもしれません。名付けて“エフスタイル道場”(笑)。エフスタイル道場は、休ませてもらえないんです。(星野)