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アネモメトリ -風の手帖-

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読書案内*ハインリヒ・ヴェルフリン(Heinrich Wölfflin, 1864-1945)

美術史家ハインリヒ・ヴェルフリンは、1864年6月21日、スイス、チューリッヒのヴィンタートゥールに生まれました。ラテン語学者であった父を通して、イタリア美術やルネサンスの文化についても著している歴史家ヤーコプ・ブルクハルトに出会い、大きな影響を受けています。
ヴェルフリンのもっとも大きな功績は、主著『美術史の基礎概念』で展開された、ルネサンスとバロックの美術を対象とする様式論の確立でしょう。線的なものと絵画的なもの、平面と深奥、閉じられた形式と開かれた形式、多数性と統一性、明瞭性と不明瞭性という対概念を通して、美術史上あらわれる様式の変化を浮き彫りにしました。ヴェルフリンの概念は、アメリカの美術批評家クレメント・グリンバーグに引き継がれています。

日本語で読むことのできるヴェルフリンのおもな著作は以下の通りです(絶版になっているものも含まれます)。
〇『美術史の基礎概念 近世美術における様式発展の問題』梅津忠雄訳,慶應義塾大学出版会,2000年(原書は1915年)。(http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/4766408160/
この著作は、ウェブマガジン「artscape(アートスケープ)」内「アートワード」の以下の記事でまとめられています。
『美術史の基礎概念 近世美術における様式発展の問題』ハインリヒ・ヴェルフリン
(artscapeトップページ http://artscape.jp/index.html

〇『建築心理学序説』上松佑二訳,中央公論美術出版,1988年(原書は1886年)。
〇『ルネサンスとバロック イタリアにおけるバロック様式の成立と本質に関する研究』上松佑二訳,中央公論美術出版,1993年(原書は1888年)。
〇『アルブレヒト・デューラーの芸術』永井繁樹・青山愛香訳,中央公論美術出版,2008年(原書は1905年)。