シアターねこは、「NPO法人シアターネットワークえひめ」が運営する松山市の小劇場です。松山市の中心市街地にある商店街から徒歩5分程度の場所にあります。
個人的な話ですが、数年前、愛媛県への移住が決まり、インターネットで市内の文化芸術情報を調べていた時、よく「シアターねこ」が検索されました。知り合いのアーティストがこの劇場でワークショップをした情報や、好きな劇団が公演した情報などです。移住して以来、度々訪れている場所の一つです。
シアターねこは、県内外の劇団やダンスカンパニーの公演やワークショップ、トークイベントや各種勉強会など、様々な用途で利用されています。施設内の本棚にはパフォーミングアーツ関連の書籍が数多くあり、貸出もされています。
特筆すべき取り組みが、毎月発行されている「シアターねこしんぶん」というフリーペーパー(B4・裏表)です。文化芸術関連の専門家や俳優、演出家などによるエッセイや公演のレビューなどに加え、その月の公演・イベントスケジュールが掲載されています。2021年2月号でVol.80となります。
この劇場の代表が鈴木美恵子さんです。鈴木さんはご自身も演劇活動をされていました。立ち上げた劇団の規模が大きくなり公演回数が増えるにつれ、劇団を運営すること自体が目的化してしまっているような違和感を持つようになったとのこと。その後、劇団というある種のしばりのある形ではなく、公演ごとにメンバーが変わる流動的な組織を立ち上げるなど、演劇を軸とした活動を続けられました。様々な出会いや学びの中、松山市でやるべきことを考え、現在の活動に行きつかれました。2018年からは精神障害を持っている方々の就労支援の活動も始められています。
コロナ禍においても休館することなく、また「シアターねこしんぶん」の発行も止めず、柔軟に運営方法を変化させながら場所を維持されています。大きなイベントに依存していた場所が危機的な打撃を受ける中、「小さな」組織の活動の在り方に重要なヒントがあるように感じます。
「シアターねこしんぶん」のアーカイブは、ホームページからも閲覧することができます。
読み応えのあるしんぶんです。是非、のぞいてみはいかがでしょう。
(牛島光太郎)
シアターねこ
http://theaterneco.main.jp/
シアターねこしんぶん
http://theaterneco.main.jp/?cat=25