この夏、長野県にて、第42回全国高等学校総合文化祭「2018信州総文祭」が開催されました。1977年に始まった総文祭は、文化芸術活動に取り組む高校生が、日頃の成果を発表する場です。文化部のインターハイとも言われ、演劇、吹奏楽、郷土芸能、自然科学など28もの部門がある大規模なものです。毎年開催地が異なり、長野県で開催された今回は、全国の高校生約2万人が参加。42回目にして長野県の開催は初めてで、次に来るのはまた47年後とすると……地元開催はとても貴重な機会となります。県内各地で分野別に開催されている中から「美術・工芸」が開催された上田市のサントミューゼにて、作品を鑑賞してきました。
「美術・工芸」部門では、各都道府県から推薦された絵画・版画・デザイン・工芸・彫刻・映像など約400点が展示され、高校生同士による批評鑑賞会、ゲストにヤノベケンジ先生をお迎えしての講演などもありました。展示されていた作品群は都道府県別に並んでいて、さすがに全国から選ばれているだけあって、見ごたえがありました。特に絵画は、時間をかけてしっかりとつくり込んであるいい作品が多かったです。反対にデザインや工芸・立体系の作品は、造作の粗さが目立ったり、高校生ならではのいい意味での青いアイデアが、造形に昇華しきれていないものもありました。また会場には、長野県特産の内山和紙を使い、実物のりんごから型を取った造形物にメッセージを書いていく参加型のインスタレーション《Peace Apple Project》の展示もありました。
制作する生徒以外にも、事務局としてたずさわる生徒や教職員による運営はとても大変そうですが、前回~今回~次回の開催地の実行委員同士の交流や引き継ぎ、たくさんの人に見てもらえる機会を持つこと、高校生同士のアート系人材のつながりをつくる意味はとても大きいと感じました。全国規模での展覧会開催の手法やマネジメントの学びの場としても、貴重な機会になっているようです。次回2019年の総文祭は、佐賀県にて開催されます。
第42回全国高等学校総合文化祭「2018信州総文祭」
2018年8月7日(火)~11日(土)
http://shinshu-soubunsai2018.jp
(山貝征典)