東京から程近い埼玉県西部には、昔にタイムスリップしたような街、通称「小江戸」の川越があります。川越はサツマイモで有名ですが、江戸時代に城下町として栄え、街を流れる新河岸川(しんがしがわ)の舟運によって江戸の文化がもたらされた情緒豊かな街です。歴史的建造物が多く残っており、1999年には蔵造(くらづくり)の街並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
今回、私はJR川越駅を出発してヤオコー川越美術館までのコースを歩いてみました。駅から1km以上続く商店街を抜けて北に進むと、御影石の歩道が現れて、大正時代を思わせるような土蔵造りや洋風建築のレトロな街並みに変わります。カフェや土産物店の通りを歩くと、まるで映画のセットに迷い込んだような感じになります。
通りの先はいよいよ蔵造の街並みです。この街並みは、大火があった明治26年以降に建造されたものだそうです。一番街と言われるとおり、小江戸・川越のメインストリートで、外国人などの観光客でごった返しています。通りの両側には黒く重厚な商家の建物がずらりと並んでいて、とても見応えのある風景です。その中でも、大正時代に立てられたルネッサンス様式の美しい洋館がひと際目を引きます。この建物は、今でも埼玉りそな銀行川越支店として営業しています。蔵造の街並みを散策しながら進んでいくと、小江戸・川越のシンボル「時の鐘」が見えてきます。江戸初期から今も変わらず1日4回、時を知らせているそうです。
近隣には観光客に人気の菓子屋横丁があります。周辺にはヤジマキミオ氏が制作したカメレオンなどの発泡スチロール製立体アートが展示されており、伝統的な街並みの中で目を引く存在となっています。
東に向きを変えてしばらく歩くと、川越氷川神社近くに目的地のヤオコー川越美術館があります。建築家・伊東豊雄氏の設計によるものですので、是非立ち寄ってみてください。カフェも併設されているので休憩もできますよ。
レトロモダンなアートの街「小江戸・川越」に皆さんも是非いらしてください。
(小野行幸)
参考
Web:川越市
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/