北海道滝川市にある「太郎吉蔵」は、彫刻家の五十嵐威暢さんの祖父が建てた酒蔵を、建築家の中村好文さんが改修設計したアートスペースです。
この太郎吉蔵を拠点に毎年開催される「太郎吉蔵デザイン会議」(通称:タロキチデザイン会議)に今年の夏、念願かなって初参加して来ました。
タロキチデザイン会議では、全国から集まったパネリストが自分のために本音の議論を行い、参加者が耳を傾けます。9回目を迎えた今年のパネリストは、デザイナーの原研哉さん、梅原真さん、桑和美さん、浄瑠璃「一中節」の十二世宗家、都一中さん、札幌市立大学学長の蓮見孝さん、そして五十嵐威暢さんという錚々たる顔ぶれでした。参加者はパネリストも含めて66名。デザイナー、建築家、コピーライター、フォトグラファー、アートディレクター、教員、行政職員、大学生……などなど多種多様な人々が全国から集まり、2泊3日、同じ空気を吸い、同じご飯を食べ、同じものを見て、同じ音を聞き、同じホテルに泊まり、その日感じたことを地元のディープなバーで夜中まで語り合いました。
今年のテーマは「勘どころ」。コンセプトや計画性が重んじられる今、目に見えるもの、目に見えないもの、様々なデザインのかたちに触れて感じて語り合った3日間は、まるでタロキチを中心に大きく透明なドームに包まれているようで夢の中にいるようでした。最終日、終了間際のランチタイムにある人がこんなことを言いました。「1日ぶっ通しでパネルディスカッションの日があってもいいかもね。もっと話を聞きたいな」。その言葉に、そこにいたみんなが大きく頷きました。いったい私たちどれだけ議論好きなんだろう、と笑い合いながら。五感を刺激され、自分自身と向き合い、どこかしら感性の重なりが感じられる人との新しい出会い。来年はあなたも参加してみませんか?
太郎吉蔵デザイン会議の趣意文はこちらから。まさにその通りのデザイン会議でした。
太郎吉蔵デザイン会議
http://www.designconference.jp/2017/about.html
(姉帯美保子)