アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

最新記事 編集部から新しい情報をご紹介。

風信帖 各地の出来事から出版レビュー

TOP >>  風信帖
このページをシェア Twitter facebook
#48

エイサーの現状(沖縄市を例に)
― 沖縄県沖縄市

夏、沖縄の集落を散策していると、集会所や公民館の広場から太鼓や三線の音が聞こえてきます。若者たちが「エイサー」の練習をしている音です。今回は、沖縄の夏の風物詩エイサーの現状を沖縄市を例にしてご紹介しましょう
エイサーは念仏踊りに起源を持ち、沖縄本島各地でお盆に踊られています。
群舞や演奏される曲目には集落固有の様式があり、年長者の指導のもと若い世代に引き継がれてきましたが、その状況を一変させるイベントが1952年にコザ市(現沖縄市)でおこなわれました。それが沖縄各地のエイサーの優劣を競う「全島エイサーコンクール」です。
順位がつけられるため、回を重ねるごとにエイサーはより見栄えのするよう、太鼓の人数が増え、踊りの振りも激しくなり、衣装も華やかになりました。しかし、地域に伝承されたエイサーの価値に順位をつけることには無理があり、順位をめぐるトラブルなども発生したため、1977年にコンクールは廃止され、このイベントは各地のエイサーが一同に披露される「まつり」へ変わりました。これが、現在、旧暦お盆明け最初の週末におこなわれる「全島エイサーまつり」です。
このまつりが行われている沖縄市は、2007年にエイサーを使って市の活性化と観光振興を図るべく「エイサーのまち宣言」を行いました。
その施策のひとつが「エイサーナイト」です。全島エイサーまつりに向け、機運を高めるために沖縄市各地で数団体がエイサーの演舞を行います。地域祭祀に付随した踊りであったエイサーは、他地域との比較が可能な場所を提供されることによって「どう見られるか」といったことより意識しはじめ、さらに観光資源として、祭祀とは切り離された意味も持ち始めました。
現在では、どこの集落にも属さないで「魅せる演出」を追求し、イベントや観光施設などでエイサー演舞を披露する団体も登場しています。
私は722日に行われたエイサーナイトを見学て来ました。演舞する人、集落の人々、観光協会の人、観光客が一丸となってつくりだす、我々を引き付ける現代のエイサーがそこにありました。

(儀間勝)

参考資料
沖縄全島エイサーまつり
http://www.zentoeisa.com/

エイサーナイト
http://kozaweb.jp/eisa/night.html

沖縄全島エイサーまつりロゴ

沖縄全島エイサーまつりロゴ。

沖縄市のエイサー関連イベントの告知

沖縄市のエイサー関連イベントの告知。

エイサーナイトの様子

エイサーナイトの様子。