上越新幹線の越後湯沢~新潟間を走っている「現美新幹線」に乗って、世界最速芸術鑑賞をしてきました。現美新幹線はJR東日本が企画した特別編成の新幹線で、臨時列車の「とき号」扱いで2016年4月から運行、現在は週末を中心に1日3往復ほど走っています。
元になっている車両は、秋田新幹線こまち号で見かけたことのあるE3系のものなのに、外観は黒色をベースに塗られ、写真家の蜷川実花さんによる長岡花火の情景を素材にした作品で覆われていて、インパクトがありとてもかっこいいです。
各車両には松本尚さん、石川直樹さん、ブライアン・アルフレッドさんなどの絵画やインスタレーション作品が、1作家につき車両1つを使ってぜいたくに展示されています。展示方法も新幹線の車内空間を生かしたり、動く車窓の風景と連動するものがあったりと、飽きさせません。
13号車には新潟の素材を使用したメニューが楽しめるカフェもあり、romi-unieのいがらしろみ氏監修のスイーツ、燕三条・ツバメコーヒー監修のコーヒー、その他ビールなども楽しめます。カフェ隣りのキッズスペースでは、paramodelの作品でおなじみのプラレールのパーツを直接触って遊べる、小上がりになった作品空間があり、子どもたちにはやはりここが1番人気でした。
なんといっても1番テンションが上がったのは、行き先を告げる電光掲示板やトイレ、放送による案内、到着する駅などは通常の上越新幹線のものであることです。越後湯沢駅を出発した後は時間通りに浦佐~長岡~燕三条と新潟に着くまで通常通り止まり、新しく乗車する人、降りる人がいることもいつもと同じ。日常と異空間の不思議なコラボレーションが楽しめます。1時間弱ほどの旅で、あっという間に終わってしまうところがまたよく、じっくり楽しむためにはぜひ往復で乗ることをおすすめします。
(山貝征典)