お米を炊く時にふわっと漂う香りはどこか懐かしくて、炊き立てをゆっくり噛みしめると、お腹も心も満たされて自然と力が湧いてきます。お米って、なんだか不思議です。
数年来、春の田植えと秋の稲刈りの時期に、知人の田んぼで作業を手伝っています。2025年の秋は島根県松江市八雲町にて「暮々山商店」の稲刈りに参加しました。

「暮々山商店」こしのみちこさん
「暮々山商店」の屋号で活動する、こしのみちこさんは大阪府の出身。2016年から島根県松江市で地域おこし協力隊を務めたのちに起業し、現在は田舎暮らしを楽しみながら農業とこよみづくりを行っています。農薬を使わず自然栽培で育て、収穫後は「はで」(竹や木などで柱を立てて横木と組んだもの)に掛けて天日で干す、丹精込めた米づくりにこだわります。「百姓」に憧れ、米づくりとともにある日本の文化を担い、残していきたいというこしのさん。作業部屋のDIYやお餅づくりなど、どんどん技を習得する姿が頼もしいです。

稲刈り作業。この日は、はで干しと脱穀をしました

2026年の立春はじまりの「紙々の國の二十四の月のこよみ」
こしのさんは、2019年から「紙々の國の二十四の月のこよみ」を製作・販売しています。これは、島根県伝統工芸品である「出雲工藝紙」を、二十四節気にあわせて24枚の短冊にして束ねた、立春始まりのこよみ。日付の横には月の満ち欠けが描かれており、1枚ごとに添えられた言葉は、こしのさんのまなざしが捉え、肌で感じた季節の風景です。例えば、2025年の大雪(たいせつ)に添えた言葉は「葉を落とした裸ん坊の木だけど雪にも風にも負けないよ。何も持たない者がいちばん強い」。彼女いわく、最近は「懐かしさやあたたかみを感じる言葉になってきたな」とのこと。
2026年で8冊目となるこよみに、こしのさんが寄せる思いとは。「カレンダーだけでなく、年賀状や新聞、本などがスマホや無機質な媒体に置き換わってしまい、風情や情緒が失われつつあると感じていて。このこよみはそういう人の五感や感性に触れるものでありたいなと思ってつくっています」
「暮々山商店」の新米と一緒に、精米の副産物である米ぬかをいただき、ぬか床づくりに挑戦しました。基本の材料は、ぬかと塩と水、唐辛子。うまみを出すために昆布とかつお節、干し椎茸も加えました。手でかき混ぜることで発酵が進み、日に日に香りが変わります。ふかふかの感触に、田植えの時、素足で感じた土の気持ちよさを思い出しました。
ぬか漬けは腸内環境を整えて免疫力を高めると聞きます。この1年、おいしいお米と漬物の力で健康に過ごせますように。
取材協力
暮々山商店 こしのみちこさん
写真
越野貴義さん(1枚目)、こしのみちこさん(2枚目、3枚目)
暮々山商店
https://boboyama.theshop.jp/
(綾仁千鶴子)


