沖縄本島北部地区の入り口、谷茶(たんちゃ)の海を見下ろす丘に、世界中から研究者や学生が集う「沖縄科学技術大学院大学(OIST)」があります。
受付からのびる「トンネル・ギャラリー」には、OISTで行われている研究が、写真パネルやディスプレイで紹介されています。コンピューターシミュレーションで再現された素粒子の動き、昆虫の形と色、衛星から見た地球の様子など、その多様な形や鮮やかな色彩は、目を楽しませ、知的好奇心を刺激します。また、これら最先端の研究成果とならんで、ここには主に沖縄で活躍する芸術家・作家の作品も展示されます。
ノーベル賞受賞者でもある、学長ジョナサン・ドーファン博士は次のように述べています。「OISTは、科学技術分野における国際的な拠点となることを目指しています。その成功には、より広範な文化的な要素を取り込んでいくことが不可欠です」(1)
その方針が体現されているのがこの回廊なのです。
ギャラリーをぬけた先にあるセンター棟から上層階にのぼると、カフェや中庭などがあるフロアにでます。中庭と研究棟を結ぶのが空中回廊「スカイウォーク」です。ここでも多くの展覧会が行われます。スカイウォークで行われた展覧会に際し、ドーファン学長は「偉大な芸術作品が偉大な科学技術の拠点に居場所を見つける。そのような素晴らしい融合が実現される展示会です」(2)と語りました。
そのほかにも、沖縄県内の芸術大学と「思考的×身体的 科学×芸術」と題するアート展を開催したり、県出身の演奏者がコンサートを行ったりと、OISTではふたつの回廊を中心に、学内のいたるところに科学と芸術の融合を見つけることができます。
ドーファン学長は「芸術と科学は共に地球上の生命の存在を理解し、解明する手段」とも述べています。
建物そのものも含め、この大学が発信している科学と芸術の融合を感じながらキャンパスを散策し、最後にカフェに立ち寄ることをおすすめします。そこからは美しい沖縄の海を一望することができます。
(1)出典:命ある形の始まり(HAMON 山田真萬巡回展)
(2)同上
(儀間真勝)