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#277

ひととアートを連れて、その先へ
― 北海道札幌市

札幌の中心地から少し北東に位置する、コンクリート塀とレンガ色のモダンな外観が特徴的なカフェ&ギャラリー 茶廊法邑(さろうほうむら)。2024年には20周年を迎えました。建築家・中山真琴氏設計の建物は、2007年に札幌市の都市景観賞を受賞。その店内に一歩足を踏み入れると作品と人を包み込む魅惑的な空間が広がり、訪れた人たちの心を掴んで離しません。

茶廊法邑 外観

カフェ&ギャラリー茶廊法邑 外観

ギャラリースペース 2023.04 楓月まなみ個展風景

ギャラリースペース 2023.04 楓月まなみ個展風景

ギャラリースペースは天井が高く、4面の壁面での展示が可能です。カフェスペースは低い位置に窓があり、上部に広い展示空間があります。そして、日本画やPTPシート(医薬品の包装シート)を用いたアート作品の作家でもあるオーナー・法邑美智子さんの明るく楽しい会話と的を射るアドバイス、美味しい飲み物や軽食が来場者の心を癒します。法邑さんとともにギャラリーを管理する番頭役の水崎さん、カフェを切り盛りする徳田さんのお二人もお店の運営、そして癒しに欠かせない方たちです。

カフェスペース

展示空間も兼ねた広々としたカフェスペース

物販スペース

物販スペース

2024年には20周年を記念し、書籍「美智子おばさんのひとりごと」が発刊

2024年には20周年を記念し、書籍『美智子おばさんのひとりごと』を発刊。オーナー美智子さんの幼少期から現在までの軌跡が綴られています

2019年には、法邑さんの病気療養や家族の介護のために1年程休廊していました。カフェのオープン時から続いていた大人気ランチ「箱膳」は、再オープン後には軽食に代わりましたが、手作りのデザートや飲み物のメニューを新しく加えるなど常に新たなメニューを研究をし、提供しています。またギャラリーでは、オープン時から公募展や企画展や貸しギャラリーと色々な形態で展示場所を提供し、アーティストを支えてくれています。グッズ販売スペースではワークショップをしたい方たちへのスペースの貸し出しも始めました。20周年の節目を迎え、この先更にどのようにギャラリーを展開させていくのかが楽しみです。
オーナーの法邑さんの人生とともに変化し、成長していく茶廊法邑を、時に一緒に楽しみながら見続けていきたいと思います。

玄関から外へのアプローチ

玄関から外へのアプローチ

カフェ&ギャラリー 茶廊法邑

取材協力
カフェ&ギャラリー茶廊法邑オーナー 法邑美智子さん

参考
法邑美智子『美智子おばさんのひとりごと』(株)アイワード、2024年。

「<weeklyアートガイド>カフェ&ギャラリー茶廊法邑(東区)」『北海道新聞デジタル』2023年9月20日、https://www.hokkaido-np.co.jp/article/907155/(2024年12月21日閲覧)。

(古月真奈美)