岐阜県の美しい飛騨木曽川国定公園の中に位置し、木曽川の支流である可児川渓谷沿いに「鬼岩(おにいわ)公園」があります。ここでは花崗岩の巨岩が織り成す大自然の壮大な景観と、その土地に根付く鬼人伝説が訪れる人々を魅了しています。
鬼岩公園は巨岩巡りやパワースポットとして人気が高く、特に注目を集めるのが「渓谷・岩巡りコース」です。このコースを進むと、やがて「鬼の岩屋」という洞窟に辿り着きます。この地に伝わる鬼人伝説によると、「関の太郎」と呼ばれる鬼がこの岩屋を根城にし、京からの討伐隊によって最期を迎えたとされています。鬼の岩屋の案内板には、「魔よけのご利益があるかも」と魔除けの可能性が記載されていました。御嵩町の中山道沿いに彼の首が埋められたとされる首塚(註)もあります。
鬼岩公園の中心を流れる可児川渓谷には、花崗岩でできた大きな岩が多く集まっています。花崗岩は、健康に良いとされるマイナスイオンを発生させ、この場所は日本でも特に大量のマイナスイオンが検出されていることで知られています。巨大な岩穴を進む「岩穴くぐりコース」に参加した方が撮影された写真には光のオーブが多数映っており、「滝のマイナスイオンだけでなく素晴らしいパワースポットだった。岩穴くぐりも特別な体験だった」と述べられていました。また、花崗岩の成分が溶け出すことで天然のラジウム温泉が形成されます。このラジウム温泉こそが、鬼岩公園に隣接された鬼岩温泉です。
季節ごとに移り変わる景色も鬼岩公園の魅力の一つです。春には5万本のつつじやヤマザクラ、新緑が鮮やかに広がり、夏には涼やかな滝の水音が心地よく響きます。秋にはもみじが彩る岩場を巡ることができ、冬には「鬼は内、福は内」という掛け声の福鬼祭りなどが楽しめます。この一風変わった掛け声は、関の太郎が福鬼としてよみがえり厄払いをするといわれるからだそう。今の季節はもみじ祭りとしてライトアップも行われる予定です。紅葉の見頃は、10月中旬から11月下旬で、飛騨・美濃紅葉33選にも選ばれる名所です。
自然の厳しさと向き合いながらも、冒険と癒しが同時に味わえるこの公園で、あなたも大自然の力を体感してみてはいかがでしょうか。
(註 )
鬼の首塚については、歴史遺産コースの加藤詩乃先生のブログでも詳しく紹介されています。
Blog 京都芸術大学通信教育課程「【歴史遺産コース】身近な歴史遺産を調べてみよう 鬼の首塚と願興寺(岐阜県可児郡御嵩町)」、https://www.kyoto-art.ac.jp/t-blog/?p=118531(2024年9月17日閲覧)。
参考
岐阜県「国定公園 飛騨木曽川国定公園」、
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/6045.html(2024年9月17日閲覧)。
瑞浪市「鬼岩公園」、
https://www.city.mizunami.lg.jp/kankou_bunka/spot/1001287/1002185.html(2024年9月17日閲覧)。
鬼岩温泉観光ナビ「鬼岩温泉へようこそ」、
http://www.oniiwaonsen.com/onsen.php(2024年9月17日閲覧)。
鬼岩温泉観光ナビ「鬼岩公園について」、
http://www.oniiwaonsen.com/park.php(2024年9月17日閲覧)。
みたけ観光ナビ「鬼の首塚」、
https://mitake-kankou.jp/experience/%e9%ac%bc%e3%81%ae%e9%a6%96%e5%a1%9a/(2024年9月17日閲覧)。
安藤弘文編『蟹薬師の歴史と伝説』御嵩町中公民館文化部、2001年。
(青山信子)