JR博多駅から歩いて約10分のところに、福岡市地下鉄の祇園駅はあります。
駅周辺の大博通りの東エリアには、中世における大陸との交流を伝える多くの寺社仏閣があります。西エリアには、博多の総鎮守である櫛田神社や博多座、福岡アジア美術館などがあり、歴史と文化を感じることができます。2022年2月、この祇園駅に「博多旧市街口」という副駅名がつけられました。駅を散策のスタート地点とし、エリアの魅力を発信、観光客にアピールする狙いがあるそうです。博多旧市街の雰囲気が感じられるように、駅構内の柱や壁、ホームドアには副駅名設定を記念した特別装飾が施されています。擬音を使って、旧市街の場所や歴史にちなんだ伝説や逸話を表現したイラスト装飾は、50種類以上あります。
ドパーン 龍宮寺の人魚姫
「龍宮寺」は人魚が眠る寺として知られています。1222年、人魚が博多の海に流れ着き、漁師の網に引っかかりました。その後この寺に埋葬されたという伝説があります。寺には「人魚塚」があります。
ちゃんちゃん 仁和加のオチの音
博多仁和加(にわか)は、郷土芸能の一つで福岡市指定無形民俗文化財です。「ぼてかずら」というかつらと「にわか面」と呼ばれる半面をつけておこないます。博多弁で話し、最後にオチをつけます。
ぱさ 福岡と博多
「福岡」は武士の町、「博多」は商人の町として発展してきましたが、1871年の廃藩置県により福岡県が誕生。市議会で新しく市の名前を決める際、福岡市派と博多市派に分かれて大論争になり、投票の結果、1票差で「福岡市」と決まりました。その代わり、新しくできる駅名が「博多駅」になりました。ですから、博多市は存在しません。テレビで「博多市」というテロップが流れると、福岡市民はぶうぶう文句を言います。
このように「くすっ」と笑ったり、「うんうん」とうなずけるイラストが駅の利用客を迎えています。逸話や伝説をなぜ擬音を使って説明しているのか、もうおわかりですよね。
(今長まゆみ)