愛媛県今治市にある「今治高等学院」、「アマカラ研究室」、「今治ホホホ座」をご紹介します。
今治高等学院は、さまざまな事情で現在の学校制度のもとで通学することが困難になった生徒が、それぞれのペースで学ぶことができる愛媛県教育委員会指定の技能教育施設です。卒業要件を満たせば、高等学校普通科卒業資格を取得することができます。
卒業後、生徒は進学や就職など、それぞれの進路を選びます。
アマカラ研究室は、放課後等デイサービス事業所です。子どもたちの「遊び・学び・体」の成長をサポートするという理念のもと、遊びの「ア」、学びの「マ」、体の「カラ」を取り、アマカラ研究室と名付けられました。
今治ホホホ座は、中心市街地の空き店舗を活用したスペースです。ここでは松山市で継続的に活動されているコンテンポラリーダンスカンパニーのプロジェクトや眼鏡づくりや洋服のリメークのワークショップ、出版イベントなど多彩なイベントが定期的に実施されています。
これらの施設を運営しているのは今治市にお住いの豊島吾一さんです。
豊島さんは、今治高等学院の学院長であり、アマカラ研究室の施設長であり、今治ホホホ座の主宰者でもあります。ご本人は音楽への造詣も深く、スティールパンの演者でもあります。
今治市出身の豊島さんは、東京の大学に進学され、卒業後も東京でしばらく過ごされました。
26歳の時、祖父が亡くなられたのをきっかけに今治に戻られました。当時、学習塾を経営していた父親が不登校の子どもたちのための教育施設「今治高等学院」をつくられており、そのお手伝いをされたことから現在の活動に至ります。
豊島さんは、今治市内の公園で開催される「ハズミズム」という音楽フェスティバルの代表でもあります。大人から子どもまで楽しめることに重きをおいた音楽イベントで、2013年から始められました。毎回、ライブだけではなく親子参加型のワークショップやマルシェなどが同時に開催され、授乳やオムツ替えのスペースなども設けられます。このハズミズムでできたつながりをもとに、フェスティバルのような一過性のイベントではなく、日常的にできることがあると考え、市街地の拠点として今治ホホホ座をつくられました。
豊島さんの活動や運営されているスペースは多岐に渡りますが、生徒の要望に耳を傾け、主体性に寄り添う姿勢や、その場にある条件でその場にいる人にとって居心地の良い空間をつくろうとする姿勢は一貫しています。豊島さんのものの見方や考え方の柔軟さや軽やかさがとても印象的でした。それぞれのスペースは、豊島さん自身の居場所であり、今治市の様々な背景を持つ方々の重要な居場所であると感じました。現在、新たな生活介護事業所の設立に向けて準備中とのことです。
今治市に限ったことではありませんが、便利な大型のショッピングモールや全国展開するチェーン店が増える中、このような手づくりの「居場所」の存在が、その土地にとってどんなに価値のあることかと感じました。
今治高等学院
https://imabari-k-g.com/
アマカラ研究室
https://amakaralabo.com/
今治ホホホ座(Facebook)
https://www.facebook.com/imabarihohoho/
(牛島光太郎)