アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#91
2020.12

コロナ禍の変化と取り組み

2 テクノロジー×ローカル 共同して地域を変える 岡山・西粟倉村
3)可能性が広がった、チームとしての「ようび」

プロジェクトが進むなかで、社名も「木工房ようび」から「ようび」に変えた。仕事の内容が「木工房」という言葉には収まりきらなくなったこと、「ようび」というチームとしての意識が強まったこと……。いくつもの思いを込めての改称だった。まさに、プロジェクトの期間を通して、彼らはチーム「ようび」になったのだ。残念ながら、それぞれの理由で、火事の後に去ることになったメンバ―もいたが、新たなメンバーも加わって、結果としてスタッフは増えた。そしてその後、どんどんチャレンジングな仕事に挑戦していくようになっていった。

———自分たちが成長しなければできないような仕事の依頼が多くなり、それらも常に引き受けて、みなが全力でやってきました。また、大島抜きの他のメンバーだけで、大きな案件をかたちにするという経験も積みました。まさにチームとして機能し出していることを実感できるようになったんです。
たとえ誰か一人優れたつくり手がいたとしても、つくったものを社会に実装するタイミングでは、それを実現するために一緒にやるひとたちが必要です。すなわち、実際に部材を削り出すメンバーや、つくり手のビジョンを共有して動けるメンバーです。ものづくりは本当にそういうひとたちの力が大事なのです。
だから、大島と仲間たち、ではなく、ようびというチームが育っていくためにできることを、めちゃくちゃ力を入れてやっています。そこには一人ひとりがどれだけ力を伸ばせるか、ということも関わってくるので、簡単にはいかないこともあるんですけど、手ごたえは感じています。

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新潟県南魚沼の老舗旅館をリニューアルした温泉宿「ryugon」(建築設計:蘆田暢人建築設計事務所)では、インテリアディレクターを代表の大島さんが務め、ようびのメンバーはそれに合わせて、設計やデザイン、制作など、さまざまな業務を行なった。並行して小豆島のホテルの仕事も進行していたが、制作チームを2つにわけ、それぞれが責任を果たすことで、10tトラック2台、4tトラック2台分もの家具の納品を無事終了。ryugonと同日納品だったが、「ようびがチームとして認めてもらえる機会になりました」と奈緒子さん(写真提供:ようび)

彼らが創業以来大切にしていることの1つに、スタッフみなでご飯を食べるということがある。普段から昼食はメンバーが持ち回りで全員分をつくって皆で食べ、ツギテプロジェクトの間も毎日、参加者みな一緒に食べた。そうして毎日、ともに食卓を囲むことで、お互いに言いたいことを言い、家族のようになっていくという。

———社員の数も食卓を囲めるくらいの人数ということで、6人くらいと思っていたのですが、いつのまにか10人を超え、随分増えていきました。でも、新しい社屋に食堂としてつくった空間は大きくて、まだ空席があります。だからいいのかなって思っています(笑)。

そのような日々の積み重ねが、メンバー同士の結びつきを確固たるものにし、チームとしての成長を支えてきた。メンバーぞれぞれが自分の役割を果たしつつ、思いやコンセプトを共有する。そして互いにサポートしながら1つの仕事をかたちにする。ようびとして、メンバーみなで仕事をすることの価値と強みが、はっきりと見えてきたのだった。

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ガラス張りで、あたりの景色をぐるりと眺められるスペース。ここでみんなで昼食をとる

ガラス張りで、あたりの景色をぐるりと眺められるスペース。ここでみんなで昼食をとる