ファッションに新しい動きが生まれている。とくに若い世代に、既成のアパレル業界から離れて、独自の服づくりに挑戦するひとたちが登場してきた。短期間で消費されない服、あるいは地方に拠点をおいた活動に取り組むデザイナーも台頭している。
2014年アネモメトリの特集「スローとローカル、これからのファッション」では、そのようなつくり手や売り手に話を聞いた。
東京で成功して全国にショップを展開し、パリやニューヨークで新作発表して世界から実力を認められる、かつてのサクセスストーリーはもうリアルなものではなくなった。自分のペースで服づくりをして、自分の仕事に共感してくれるひとたちとつながりを築きたい、そんな価値観が出てきている。彼らはファッション界の主流ではないかもしれないが、これからの時代を切りひらいていく可能性を感じさせた。
あれから4年——。日本ファッションはグローバル化、ファスト化に加えて、ネットの普及により、ますます変化している。数年を経て、若いつくり手たちはなにを考え、どこへ向かおうとしているのか。スローファッションの価値観は果たして生き残っていくのか。
今回はテキスタイルとファッション、2つのフィールドのつくり手を訪ねてみよう。まず前編はテキスタイル編である。
風信帖