柳原さんはぶれない軸を持って、かかわるひととともに「ほんとうに必要なこと」を探りながら、必要なしくみをつくっていく。どんなプロジェクトであっても、柳原さんの「デザインする状況をデザインする」姿勢は変わらず、それぞれにしくみを残し、その地域やプロジェクトで動かされている。
一方の城谷さんは、自分の根ざす場所で、ひとの役にたち、幸せな生活を送るためのしくみづくりを考える。そこでは、かならずしも新しいものを生み出すばかりがものづくりではない。「つくりなおす」ことなどもふくめて、ひと、もの、まちの循環を考えている。
異なる立ち位置だが、手がけたことが持続しながら、それぞれの仕事のなかで関係し合っているようにも思える。その積み重ねによって、ものづくりの現場や地域社会にもいい変化が生まれるのだろう。そして、すべてはきれいに循環すれば、よい方向に向かっていく。
3月号では、また違った角度から、ものづくりやまちづくりを再考したい。
撮影
成田 舞(カバー写真)、大森克己(1章1〜3)、石川奈都子(2章1)、林口哲也(2章2)
成田 舞(カバー写真)、大森克己(1章1〜3)、石川奈都子(2章1)、林口哲也(2章2)
構成・文 : 村松美賀子
編集者、ライター。京都造形芸術大学教員。最新刊に『標本の本-京都大学総合博物館の収蔵室から』(青幻舎)や限定部数のアートブック『book ladder』。主な著書に『京都でみつける骨董小もの』(河出書房新社)『京都の市で遊ぶ』『いつもふたりで』(ともに平凡社)など、共著書に『住み直す』(文藝春秋)『京都を包む紙』(アノニマ・スタジオ)など。