2)写真、大雪山、家具 3つのアーカイブ
東川町では、現在、「写真文化」に「大雪山文化」と「家具デザイン文化」を加えた3つの文化を独自の文化として対外的に打ち出している。「せんとぴゅあ」にも、それに合わせて大きく3つの「アーカイブ(収蔵品)」があり、それぞれが東川の地域文化を可視化し、魅力を伝える重要な役割を担っている。それらを「垣根を超えて、融合したいという思いで運営している」と高石さんは言う。
それぞれの内容を簡単に案内したい。
まず1つ目は、写真集のアーカイブである。前号でも触れたとおり、東川町では毎年、国際写真賞「写真の町 東川賞」を授賞している。その受賞条件がオリジナルプリントの寄贈で、第40回までに170名以上の写真家による3400点を超える作品が収蔵されている。
一方、その受賞者選考の過程で、候補者に関する資料や写真集も膨大に蓄積されてきた。これには市販の写真集だけでなく、市場には流通しない作品集など貴重な資料も含まれる。「せんとぴゅあⅡ」には、そんな資料が約1600冊収蔵され、その一部が閲覧できる。また、他施設で受賞作家の作品コレクションを展示する際、関連の企画棚がつくられることもある。

その年の「写真の町 東川賞」受賞者の作品集が並ぶ。東川町の写真集アーカイブの中から厳選したコーナーだ
2つ目は、山岳文化を伝える「大雪山文化アーカイブス」。大雪山の恵みとともに暮らしてきた歴史は、東川町民にとって大切なアイデンティティの1つだ。町内には道内最高峰・旭岳(標高2291m)があり、古くから多くの登山者に親しまれてきた。
ここには、大雪山文化に関する書籍や資料が約1500点収蔵されている。旭岳を含む大雪山系の名付け親であり、植物学者・登山家として知られる小泉秀雄(1885〜1945年)の自筆原稿など貴重な資料が展示されている。


明治時代の登山記や紀行文などの貴重な文献が揃う。その場で閲覧できるように整えられたスペースも
3つ目が、地場産業の家具木工に関する「家具デザインアーカイブス」。東川町は、日本三大家具の一つに数えられる「旭川家具」の主要な産地の一つで、家具木工産業は町を代表する基幹産業だ。
せんとぴゅあでは、町内で生まれた子ども全員に子ども用の椅子を贈るプロジェクト「君の椅子」の歴代デザインなどが展示され、町内事業者のクラフト作品や家具も展示・販売されている。また、施設内で使用されている家具や什器なども地元事業者が基本的に手がけていて、町内で経済を回しながら、来館者に東川のものづくりの魅力を身近に感じてもらう工夫をしている。


2006年に取り組みが始まった「君の椅子」は子どもの居場所の象徴であり、子どもの成長を地域で見守りながら、地域に根差した生活文化を伝え残していきたい、という願いが込められている。デザインは毎年変わり、国内外のデザイナーと町内の家具工房が協働して無垢の椅子を製作する


