4)最後に 日本でも。サステナブルをあきらめない
サステイナブル・ファッション・センターの研究者たちの話を聞き、イギリスの大学がどのような取り組みが行ってきたのか、一端を知ることができた。今回の取材で印象に残ったのは、彼らが現状を変えるために、何をするべきかを分析し、実際に行動に移してきた、その「本気度」であった。それは権利、自由、平等、社会的公正を求めて戦って勝ち取ってきた、英国市民の精神、伝統に根ざすものでもあろう。
サステイナブル・ファッションの厄介さは、多くのステークホルダーの異なる意見、立場、利害が複雑に交錯するところである。だからこそ、なるべく多くの人びとが「自分ごと」としてかかわれるような仕組みが欠かせない。そのためにも、サステイナブル・ファッション・センターのような研究機関を立ち上げ、海外とつながり、互いに学びあいながら、大きな運動に育てていくことが望ましい。
サステイナブル・ファッションの理念を日本でどのように根づかせるか――その問いに、私が明確な答えをもっているわけではない。だが、英国で見たような「本気の取り組み」が存在することを伝え、共有することはできる。変化は一世代で完結するものではない。こうした記録が、次の世代が新しいかたちで行動を起こすための土台となることを願っている。

フランチェスコ・マザレラさんのプロジェクトより。自分たちを励まし、人を励ます前向きな言葉とビジュアル
取材・文:成実弘至(なるみ・ひろし)
京都女子大学教授。服飾文化論。著書に『20世紀ファッション』(河出文庫)、編著に『ファッションヒストリー1850−2020』(ブックエンド)、『コスプレする社会』(せりか書房)、共著に『映画で読み解く現代アメリカ2トランプ・バイデンの時代』(明石書店)など。2024年ロンドンメトロポリタン大学客員研究員。
京都女子大学教授。服飾文化論。著書に『20世紀ファッション』(河出文庫)、編著に『ファッションヒストリー1850−2020』(ブックエンド)、『コスプレする社会』(せりか書房)、共著に『映画で読み解く現代アメリカ2トランプ・バイデンの時代』(明石書店)など。2024年ロンドンメトロポリタン大学客員研究員。
写真:富岡秀次 / Shu Tomioka
85年に東京でフリー・フォトグラファー。 90年からロンドンをベースに、ミュージック、ファッション、旅、映画、演 劇、ミュージカル、バレエ他、英文化全般を対象に撮影活動をしている。 ミセス、装苑、ハイ・ファッション、ELLE、アエラ、GQ、Vogue Japon、花時間、スカイワード、 デパーチャー、Number、ペン、プレーヤー・マガジン、ギター・マガジン等 多数。 連載は93年の6月号から『レコード・コレクターズ・マガジン』で〝ブリティッシュ・ロックの肖像″を、毎月2ページ執筆&ポートレート撮影。 現在も継続している。
近年の仕事に、高松宮殿下記念世界文化賞受賞者 アイ・ウェイウェイ 艾未未撮影 (産経新聞他)/ 料理研究家 エリオットゆかりホームページ制作 https://www.yukari-elliott.com/ ブレイディーみかこ公式フォトグラファー (文春社、新潮社、リクルート社、東本願寺出版など)/ 「世界の果ての理想郷 セブン・シスターズ編」(Signature2022年)/「80億人の旋律」アイルランド 血の日曜日編、ミュージック・セラピー編 、ヒルズブラ悲劇編(共同通信2023年)/「ロンドン近郊列車の旅」 (家庭画報2023年)/「Heanvenly Cream」( 2枚組CD&LPのジャケット)(Bluestown Music2023年)など。
85年に東京でフリー・フォトグラファー。 90年からロンドンをベースに、ミュージック、ファッション、旅、映画、演 劇、ミュージカル、バレエ他、英文化全般を対象に撮影活動をしている。 ミセス、装苑、ハイ・ファッション、ELLE、アエラ、GQ、Vogue Japon、花時間、スカイワード、 デパーチャー、Number、ペン、プレーヤー・マガジン、ギター・マガジン等 多数。 連載は93年の6月号から『レコード・コレクターズ・マガジン』で〝ブリティッシュ・ロックの肖像″を、毎月2ページ執筆&ポートレート撮影。 現在も継続している。
近年の仕事に、高松宮殿下記念世界文化賞受賞者 アイ・ウェイウェイ 艾未未撮影 (産経新聞他)/ 料理研究家 エリオットゆかりホームページ制作 https://www.yukari-elliott.com/ ブレイディーみかこ公式フォトグラファー (文春社、新潮社、リクルート社、東本願寺出版など)/ 「世界の果ての理想郷 セブン・シスターズ編」(Signature2022年)/「80億人の旋律」アイルランド 血の日曜日編、ミュージック・セラピー編 、ヒルズブラ悲劇編(共同通信2023年)/「ロンドン近郊列車の旅」 (家庭画報2023年)/「Heanvenly Cream」( 2枚組CD&LPのジャケット)(Bluestown Music2023年)など。
企画・編集:村松美賀子(むらまつ・みかこ)
文筆家、編集者。東京にて出版社勤務の後、ロンドン滞在を経て2000年から京都在住。書籍や雑誌の執筆・編集を中心に、アトリエ「月ノ座」を主宰し、展示やイベント、文章表現や編集、製本のワークショップなども行う。編著に『辻村史朗』(imura art+books)『標本の本–京都大学総合博物館の収蔵室から』(青幻舎)限定部数のアートブック『book ladder』など、著書に『京都でみつける骨董小もの』(河出書房新社)『京都の市で遊ぶ』『いつもふたりで』(ともに平凡社)など、共著書に『住み直す』(文藝春秋)『京都を包む紙』(アノニマ・スタジオ)など多数。2012年から2020年まで京都造形芸術大学専任教員。
文筆家、編集者。東京にて出版社勤務の後、ロンドン滞在を経て2000年から京都在住。書籍や雑誌の執筆・編集を中心に、アトリエ「月ノ座」を主宰し、展示やイベント、文章表現や編集、製本のワークショップなども行う。編著に『辻村史朗』(imura art+books)『標本の本–京都大学総合博物館の収蔵室から』(青幻舎)限定部数のアートブック『book ladder』など、著書に『京都でみつける骨董小もの』(河出書房新社)『京都の市で遊ぶ』『いつもふたりで』(ともに平凡社)など、共著書に『住み直す』(文藝春秋)『京都を包む紙』(アノニマ・スタジオ)など多数。2012年から2020年まで京都造形芸術大学専任教員。


