アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#143
2025.04

社会を変えるデザイン

3 みんながつながる 地区の家 イタリア アレッサンドリア

社会とかかわるデザインについて、イタリアの事例をもとに考える第3回目。
初回では、イタリアで1960年代以降に生まれたデザイン活動「プロジェッタツィオーネ」に着目し、その実践者「プロジェッティスタ」を取りあげた。彼らは必要とされるものを見きわめながら、プロジェクトの全体を統括する。何かをつくることの意味を探りつつ、かかわる人やものごとの関係性をこまやかに構築しながら、取り組みを進めていた。
第2回では、広い意味での現代のデザインを取材した。知的障がい者とアートプロダクトなどを制作する団体「ラボラトリオ・ザンザーラ」と、社会的・教育的なテーマを中心に絵本の出版を行うインディペンデントな出版社「カルトゥージア出版」である。イタリア社会の課題に対して、プロジェッタツィオーネに通じる思考や技術をもって、プロダクトや絵本制作を行っている。
今回は、まちを変えつつある社会的な活動を取りあげる。舞台となるのは、北イタリアにあるアレッサンドリア。人口は9万3千人ほどの都市だ。
このまちは、2012年に行政が破綻した。中以上レベルの都市でイタリア初の破産宣言だった。予算がないため、一般市民の社会生活はもちろん、移民や難民をはじめ、社会的な弱者も行政のサービスを受けられない。その状態は2015年ごろまで続いた。
不透明な状況のなかで、市からの助成に頼ることなく、「地区の家」と呼ばれる場所を立ち上げた団体がある。コーディネーターのファビオ・スカルトゥリッティさんをはじめ、団体のメンバーたちは1500㎡もある巨大な倉庫を掃除するところから始めて、2011年、誰もが来られるコミュニティスペースをつくりだした。
それから、ファビオさんたちはゆっくりと時間をかけて、まちの景色を変えてきた。彼らの心ある、さまざまな実践をみていきたい。批評家でアーティストの多木陽介さんのナビゲートで、アレッサンドリアに向かった。

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