デザインのありかたについて、イタリアの事例をもとに考える第2回。前回は、イントロダクションとしてイタリアで1960年代以降に生まれたデザイン活動「プロジェッタツィオーネ」に着目し、その実践者「プロジェッティスタ」を取りあげた。戦後イタリアを代表するデザイナーのひとり、アキッレ・カスティリオーニと、彼と多くの仕事をともにしたジャンフランコ・カヴァリアさんである。彼らは必要とされるものを見きわめながら、プロジェクトの全体を統括する。何かをつくることの意味を探りつつ、かかわる人やものごとの関係性をこまやかに構築しながら、取り組みを進めていた。
今回は、広い意味での現代のデザインを取りあげていきたい。知的障がい者とアートプロダクトなどを制作する団体「ラボラトリオ・ザンザーラ」と、社会的・教育的なテーマを中心に絵本の出版を行うインディペンデントな出版社「カルトゥージア出版」である。彼らはプロジェッタツィオーネを直接学んだわけではないけれど、その思考と方法は通じている。それぞれ、イタリア社会の課題とどのようにかかわっているのだろうか。批評家でアーティストの多木陽介さんのナビゲートで、トリノ、ミラノを訪ねた。

トリノのラボラトリオ・ザンザーラ

ミラノのカルトゥージア出版