アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#121
2023.06

ゴミを「自分ごと」化する

一人ひとりの自分ごとを重ね合わせる 高知で服部雄一郎さんに聞く

#119では「スポGOMI」を取材し、ゴミ拾いをエンターテインメント化して、ひろくゴミへの意識を呼びかける取り組みを、#120ではまちの仲間が集まって地域のお店とともに容器、包装ゼロを目指す「くるん京都」の取り組みを紹介した。ジョギングをしていたときに目についた、まちにポイ捨てされたゴミ、家のなかでいつのまにか増えていくプラスチックゴミ。切り口は違うけれど、どちらもゴミにまつわる素朴な疑問や違和感から始まった活動だ。どんなゴミのはじまりと終わりにも、誰かの生活の景色が見える。回収されて一時的に目の前からなくなったように見えても、最終処分場で灰となり、燃えきれず海を漂い、そこは誰かが暮らす場所と地続きだ。自分の出したゴミはみんなのゴミになり、誰かの出したゴミが自分のところへも帰ってくる。ゴミにはわたしたちの暮らしの選択がダイレクトに現れるからこそ、スポーツやゲームを楽しむ感覚でゴミをなくす達成感と爽快感を味わったり、生活者として仲間とともにアイデアを出し合いながら取り組みを続けたり、多様なアプローチで、ゴミ問題への関わり方のハードルを下げることができると教えてもらった。

本特集の最終回となる今回は、高知県香美市でゴミを出さない暮らしを目指し、ブログ「サステイナブルに暮らしたい」やSNS、数々の書籍を通して個人単位、家族単位で楽しく心地よくできることを発信している服部雄一郎さんを取材した。20代は都心で過ごし、ゴミにも環境問題にも無関心だったという服部さんがゴミ問題に目を向けるようになったのは、お子さんの誕生を機に自然豊かな神奈川県葉山町に移住し、町役場のゴミ担当者に配属されたのがきっかけだった。ゴミを探究すると、生活が変わる。その面白さに惹かれてゼロウェイスト(ゴミゼロ活動)の盛んなバークレーに家族を連れて留学し、卒業後にゴミNGOの仕事で滞在した南インドの光景が、生き方を決定的に方向づけた。服部さんのこれまでの歩みと現在の暮らしをたずね、わたしたちにもできるゴミとの関わり方を見つけたい。

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