アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#120
2023.05

ゴミを「自分ごと」化する

2 生活者の目線から 「くるん京都」の取り組み 
1)ゴミにまつわるモヤモヤを分かち合う場

すみれや」の1階には、店主の春山文枝さんが地域で循環するものと人とお金の流れをつくりたいと選んだ、主に京都近郊の生産者による無農薬野菜や無添加の食材、天然素材の生活雑貨や書籍などが並ぶ。なかでも目を惹くのは、8年前の開店当初から店の看板として設置される「量り売り」コーナーだ。豆やお茶、干し野菜やスパイスなど乾物の入った瓶がずらりと陳列されていて、眺めるだけでも楽しい。容器を持参すれば、ここで好きなものを好きなだけ、備え付けの量りで計量して買える。はじめは利用する人が少なかったが、容器を忘れた人のための紙袋や空き瓶の設置やリクエストされたアイテムを増やすなど、お客さんとのやりとりを重ねながら育て、いまでは量り売りを目当てにやってくる常連客も多い。

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町家を活用したすみれや。目玉は瓶やタッパーなどマイ容器に、必要な量を買える乾物の量り売りコーナー。くるん京都による、端材でつくった「マイ容器使えます」も目印だ / 自由に使える紙袋やお客から寄付された空き瓶が置かれ、マイ容器がない場合も気兼ねなく買い物ができる

2階の広間では、マーケットやトークイベントなどが定期的に開催される。「くるん京都」はこの場所で月に一度、ミーティングを行っている。メンバーは個人店主、大学生や大学教授、医者、会社員など、年代や職業、国籍もさまざま。途中の出入りも自由で、風通しのよい雰囲気だ。取材の日は、発起人の小川さんや、縁あってメンバーとなった佐藤さん、まきさん、ドイツ出身のビアンカさん、アメリカ出身のポールさん、新メンバーの高松さんなど多彩な顔ぶれが、ちゃぶ台を囲んでおすすめアイテムの情報交換をしていた。おいしくてお得な箱ワイン、エコタンクのプリンターなど、ゴミを減らすだけでなく、日常的に使い続けたい心地よさがあるかがポイントのようだ。
昨今話題のコンポストについても、話が広がっていた。土に生ゴミを埋めるだけで、毎日出る生ゴミが激減し台所が臭わない、できた肥料で美味しい野菜も育つとあって6人中5人が実践していた。トートバッグタイプのおしゃれでお手軽なものも人気だが、ポールさんの一推しはミミズコンポストだ。引き出しに入ったミミズが生ゴミを食べ、肥料になるスピードも早くてマンションにも向いているという。「ミミズはどうやって入れるの?」「うにょうにょ出てこない?」「どのくらいのスピードでゴミがなくなるの?」など、メンバーからの質問が止まらず、盛り上がった。

ゴミに対して日頃感じているモヤモヤや困りごとも、みんなで話しているうちに解決したり、多様なメンバーが持ち寄る経験談や情報から面白い企画が生まれることもある。その楽しさが原動力となって、活動の幅も人の輪も広がりつつある。

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この日のミーティングは、6、7人ほど入れ替わりながら。気づくと互いのゴミ減らしアイテムや、悩み、取り組みについて「話がつい脱線してしまう」そうで、終始なごやかな雰囲気。くるん京都では、いつでもメンバーを募集している