3)「世界最狭広場」から生み出される活動
次の一歩として、山川さんがつくろうとしているのが、「暮らすように滞在する」中長期の滞在者向けの宿。いま、その企画を進めているところだ。
———最近は、(宿泊先で)自分でなにかをつくりたいという方が増えてきています。地元の作家さんとか、職人さんと一緒に作品をつくりたいとか、写真家の方が写真を撮りたいとか、経営者の方がゆっくりビジネスプランを練りたいとか。そういうときにBed and Craftがちょっとホテルライクで、連泊に合わない。だから、いま開発している中長期型の宿泊施設は、簡素にしようと考えています。宿にはちょっとしたスタジオがついていて、自分の作業ができて、1週間とか滞在できる。ビジネスホテルほど簡素ではないけれど、ホテルライクでもない。宿泊者のインスピレーションが刺激されるような、そんな宿があったらいいな、と。
宿は2階が客室になり、1階の細長い通路を広場にする予定だという。
———物件は、間口が3.6メートルしかないのに、奥行きが32メートルもある。井波で一番細長い、通称「ウナギ」。その2階に宿をつくって、1階を「世界最狭広場」としよう、と。1階部分は、ほぼ通路なんです。でも、「広場」と言ったら、そこでなにかアクティビティが生まれるんじゃないかなって。
いま計画しているのは、1階で週末にマルシェをやったり、お店をやりたいひとがポップアップショップをやって、このまちを気に入ったら本格的に場所を探したりとか。いきなりなにかをするのはハードルが高いけれど、お試しでチャレンジできる。
あるいは、写真家が1週間滞在して写真を撮り、最後に広場で写真展をやって地元のひとに見てもらうとか。海外から来るんだったら、写真を売って帰りの飛行機代の足しにするとか。小さいキッチンもついているので、料理家がレシピをつくって、そこで料理をして地元のひとにふるまうこともできる。そういう空間をつくろうとしています。