前号では飛生芸術祭が約10年の歳月をかけてどのように地域と向き合ってきたか、そして、地域とのかかわりを深めることで、地域を超えて広がりつつある活動の一端を紹介した。今号では、飛生芸術祭の基盤となっている共同アトリエ「飛生アートコミュニティー」について取り上げてみたい。飛生アートコミュニティーは、飛生小学校の廃校にともない、1986年にアーティストが創作の場として活用を始めたものだ。現在、飛生芸術祭として広がる活動の原点には、ものや作品を創造する場としての「アトリエ」があり、そのアトリエは地域コミュニティの中核の一つとして機能してきた小学校がベースとなっている。それが、長く続く活動の変わらぬ土台となっているようだ。しかし、ここで最後に問うてみたい。35年前に廃校となった小学校は、本当になくなったのだろうか?
風信帖