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アネモメトリ -風の手帖-

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公推協杯 全国若手落語家選手権
― 宮 信明

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 みなさんは「公推協杯 全国若手落語家選手権」という、若手落語家のコンクールがあることをご存知だろうか。
 主催は共同通信社、公推協杯実行委員会で、公益財団法人公益推進協会が助成、東京かわら版が協力。ほかにも大和ハウスや山田養蜂場などが協賛している。
https://bunp.kyodonews.jp/wakaterakugoka/2025/
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 対象となるのは、入門15年以下の落語家。ただし、誰でも出場できるわけではない。出場資格を得られるのは、全国の寄席・落語会運営者、つまり関係者の推薦によって、選出された上位15名のみ。その15名を無作為に5人ずつに分け、3回の予選を行う。それぞれ1位となった出場者が本選出場権を獲得。さらに、各予選で2位となった3人が、敗者復活選で本選出場の残り1枠を競い合う。各予選の1位通過者と敗者復活選勝者、計4人が本選に出場し、若手落語家ナンバーワンの称号を懸けて争う仕組みだ。

 2022年度から始まった大会で、第1回(2022年度)は三遊亭わん丈さん、第2回(2023年度)は立川吉笑さん、第3回(2024年度)は三遊亭ごはんつぶさんが優勝している。
 2025年度は、予選1が3月24日、予選2が4月10日、予選3が4月28日に、それぞれ大井町の「きゅりあん小ホール」で、そして敗者復活選と本選が5月22日に、中野の「なかのZERO小ホール」で開催される予定だ。
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 漫才の「M-1グランプリ」やコントの「キングオブコント」ほどの知名度はないとしても、落語にも若手落語家の登竜門とされるようなコンクールやコンテストが、いくつか存在する。
 日本放送協会(NHK)が主催し生放送される「NHK新人落語大賞」、相模原市民文化財団主催の「さがみはら若手落語家選手権」、「彩の国さいたま寄席~四季彩亭」の出演者の中から選ばれる「彩の国落語大賞」、北区文化振興財団主催の「北とぴあ若手落語家競演会」、上方落語協会主催の「上方落語若手噺家グランプリ」、天満天神繁昌亭による「繁昌亭大賞」の「繁昌亭新人賞」、さらに日本芸術文化振興会の「花形演芸大賞」なども、そのひとつだろう。

 こうして並べてみると、若手落語家が芸を競い合うという点では共通していても、それぞれの大会で個性や特徴が異なることが、よくわかる。それは、その大会の主催者が、若手落語家になにを求めているのか、というちがいでもあるのだろう。

 「公推協杯 全国若手落語家選手権」の特徴は、すでに触れたように、やはり関係者の推薦によって出演者が選出されることだろう。また、芸はもとより、若手スターの発掘を狙いとしているため、新しさや華やかさも採点の重要な要素になっているのではないだろうか。過去の優勝者に新作落語を得意とする演者が並んでいるという傾向からも、当日の会場でいかに客席を巻き込み、大きな笑いを生みだしていけるのかが鍵になるのかもしれない。
 そしてなによりも大賞賞金の100万円! これは若手落語家のコンクールでは、おそらく最高額ではないだろうか。

 どんな業界であっても、第一線で活躍している人材だけでは、先細りは避けられない。新人や若手が成長していかないかぎり、そのジャンルはいずれ衰退していくことになる。落語界においても、その活性化のためには、下からの突き上げは不可欠であろう。

 ちなみに、私事で恐縮だが、予選1(3月24日)、予選2(4月10日)、本選(5月22日)の審査員を務めることになっている。新たな才能を育てるのが自分の役目、なんて烏滸がましいことは、これっぽっちも考えていないが、その誕生の瞬間に立ち会えることが、いまから楽しみでならない。