アートとともにひと、もの、風土の新しいかたちをさぐる

アネモメトリ -風の手帖-

特集 地域や風土のすがたを見直す、芸術の最前線

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#18
2014.06

場の音、音の場

前編 梅田哲也×細馬宏通 対談 展覧会「O才」をめぐって

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梅田哲也さん

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細馬宏通さん

 大阪の南に位置する西成区。日雇い労働者が集まるあいりん地区や、現在も遊郭として営業する飛田新地などが広がる、いわゆるディープで猥雑な大阪のイメージそのままの地域である。
「O才」展の舞台は、その西成の北東に位置する山王地区。昔ながらの商店街や長屋が建ち並び、昭和の時代を想わせる。どこか懐かしい日常の風景に、梅田さんは作品を紛れ込ませた。下町の路地でぽっかりと顔をのぞかせる空き地を出発点に、鑑賞者は山王の商店街や住宅街、さらには遊郭の飛田などの主に4ヵ所を巡りながら、作品と出会っていく。
とはいえ、どこまでがまちの日常で、何が、どこから作品なのかは、一見しただけではわかりづらい。有線から流れる戦前の大阪の流行歌。ゴルフ場に浮かぶ、巨大な黒い球。輪になって何やらゲームのようなことに興じる人たち‥‥‥。日常ではあり得ないような、でもこのまちならあってもおかしくないような、少し謎めいた光景がところどころに立ち上がっている。
まちの風景、建物の佇まいに溶け込みつつ、少しだけ奇妙な/異質な「何か」を見つけながら歩く“鑑賞時間”は2時間に設定。途中で得られる情報のみを頼りに、鑑賞者がそれぞれの道筋を辿る。

「O才展」開催概要
日時:2014年2月22日(土)・23日(日)・28日(金)、3月1日(土)・2日(日)・7日(金)・8日(土)・9日(日)
会場:大阪市西成区山王一帯
出発時間:14時〜16時(鑑賞時間は2時間に限定)
出発場所:山王郵便局横 空き地
料金:1,000円(中学生以下無料)
定員:各日50名

梅田哲也(うめだ・てつや)
1980年、熊本県生まれ。美術家。大阪府在住。時間と空間を基調に、建築構造から観客の行動まで、とりまく状況全般を素材とした体験型のインスタレーションを 展開する。既存の展示空間のみならず、都市空間や自然のなかでサイトスペシフィックな作品も多く手掛ける。近年の個展に「ホテルニュー恐山」Ota Fine Arts(シンガポール・2013年)、「O才」Breaker Project(大阪・2014年)など。
http://www.siranami.com/

細馬宏通(ほそま・ひろみち)
1960年生まれ。滋賀県立大学人間文化学部教授。専門は会話とジェスチャーの分析、19世紀以降の視聴覚メディア研究ほか。ミッキーマウスからユーミン、テレビドラマ『あまちゃん』まで、守備範囲の広さでは右に出る者なし。バンド「かえる目」ではヴォーカルとギターを担当。著書に『浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざし』(青土社)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史』(新潮社)、『今日のあまちゃんから』(河出書房新社)、『うたのしくみ』(ぴあ)など。
http://www.12kai.com/