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アネモメトリ -風の手帖-

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#151

中古家具の街
― 沖縄県宜野湾市

那覇から北に延びる国道58号線(日本復帰前は軍道「1号線」と呼ばれていました)沿いに宜野湾市大山地区はあります。
沖縄戦後、1号線に面する大山地区の街並みは米軍基地の影響を受けながら形成されてきました。駐留している米兵が沖縄を離れる時、使っていた家具など不要なものが多く出ます。やがてこの大山地区には、それらを取り扱う中古家具のお店が増え始めました。
1960年ごろには、通りは「大山ファニチャーストリート」と呼ばれるようになり、お店では持ち込まれた品をリペアして再販していました。
外国製の中古家具のお店が集まっている通りの雰囲気にひかれ、やがてヨーロピアンアンティーク、独自工房で製作した籐家具を扱うお店、アメコミヒーローのキャラクターグッズや、本場のテーブルウェアなどを取り扱うお店、個人の家具作家が共同で運営するお店など、インテリアを中心とした特色あるお店が集まってきました(1)。外国家具が安価で購入できるということで、この通りは賑わいを見せるようになります。国道沿いだけでなく、近隣の空き家となった米軍人の住宅を改装してお店を開く人も現れ、大山地区にはインテリア用品を買い求める人だけでなく、ウィンドウショッピングを楽しむ観光客も訪れるようになりました。
近年では、近隣に生活用品を取り扱う大型店が進出し、生活用品が容易く安価で入手できるようになり、わざわざ本国から生活用品を持ち込まなくてもよくなったためか、中古家具の入手が困難になり、中古家具の専門店は次第に数が減ってきました。それでも一部のお店は独自にアメリカで中古家具を買い付け販売を続けています(2)。
米軍基地に隣接することによって誕生した街は、大型店舗の進出や観光地化など環境の変化により少しずつ姿を変えてきました。
通りの名前にもなった中古家具屋の数は減りましたが、個性豊かなお店がならぶ街並みは現在も変わらず「大山ファニチャーストリート」と愛着をもって呼ばれ、人々をひきつけています。

(儀間真勝)

(1)
琉球新報Style ぬくもり、こだわりにワクワク カメラとお出かけ ほろほろ街(マーチ)vol.16 家具屋通り(宜野湾市)とその周辺
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-795921.html

(2)
琉球新報Style レトロな魅力が満載 宜野湾市大山のファーニチャーストリート
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-311719.html

独自にアメリカで中古家具を買い付け販売を続けていお店

独自にアメリカで中古家具を買い付け販売を続けているお店

アメリカンヒーローのキャラクターグッズを取り扱う店

アメコミヒーローの看板が出迎えてくれる雑貨店

アメリカン アンティークショップ

アメリカンアンティークショップ