盛岡では6月に入ると街のあちらこちらから太鼓の音が聞こえてきます。さんさ踊りの練習が始まるのです。「サッコラ~チョイワヤッセ~」の声が響き渡る「盛岡さんさ踊り」。今年は第40回の節目の年です。2014年6月には「和太鼓同時演奏の世界記録」を見事達成し、ギネスで世界記録に認定されました。
東北のお祭りの中では認知度の低い盛岡さんさ踊りですが、地元では幼稚園児や高校生、大学生から官公庁、病院、一般企業まで大いに盛り上がる夏のお祭りです。
8月1日から8月4日までの夜6時から3時間、県庁前を起点に約1キロの踊りのパレードが繰り広げられます。去年は述べ254団体、3万4500人が参加しました。
さんさ踊りの起源は「三ツ石神社」にあります。昔、盛岡城下に羅刹(らせつ)という鬼が現れ悪さをしていました。そこで里人が三ツ石神社の神様に退治を祈願したところ神様はその鬼を捉え、二度と悪さをしないようにと境内の大石に手形を押させました。それを喜んだ里人が「さんささんさ」と踊ったのがさんさ踊りの始まりと言われています。
さんさ踊りは昔から各地域で異なった踊り方を伝承してきましたが、パレードを行うために踊りやすく統一したさんさ踊りが作られました。現在ではパレードの踊りの種類も増え「福呼太鼓」「栄夜差太鼓」「七夕くずし太鼓」などがあります。各地に残る伝統さんさを踊る団体もあります。
さんさ踊りは参加するお祭りです。パレードが終わると大通りの各場所に「輪踊り」という誰でも参加できる踊りの輪ができます。元「ミスさんさ」たちが観光客を踊りの輪に誘います。最初は遠巻きに見ていた観光客もいつの間にか踊りの輪に入り、楽しそうに踊り始めます。地元の人は何ヶ月も前から練習を重ね、本番に備えます。大学生は優秀賞をねらって練習に余念がありません。北国の夏を燃え上がらせるさんさ踊り、是非一度見にいらしてください。
参考資料
Web:盛岡さんさ踊り
http://www.sansaodori.jp/
もりおか生活情報紙 Apple Vol.178 , 2017年7月号, (株)東北堂
(福島雪江)