高知県いの町は、仁淀川や土佐和紙、生姜が有名ですが、とうもろこしの露店も名物のひとつ。高知では、とうもろこしを「きび」と呼びます。
ゴールデンウィークを終え、どんどん日差しが強くなりはじめる5月末。高速道路「いのインター」出入口のすぐ側、いの町枝川地区のとうもろこし畑の近くでは、いち早く夏の風物詩である「きび街道」が始まっています。
きび街道では、地元の農家さんが朝5時頃に収穫した、一番の甘みを含んだ朝獲れのとうもろこしを楽しめます。その場で茹でたとうもろこしを販売する屋台が並び、地元客から県外客まで毎日大人気です。
30年以上つづく露店ですが、今は4軒にまで減ってしまいました。昔は10軒以上がひしめきあい、とても賑わっていたそうです。
子供の頃はこの道を通るのが楽しみで、暑いなか口の中ではじけるほどプリプリとした食感のとうもろこしを夢中で頬張ることが夏の思い出となっています。
昔ながらの屋台では、茹でたとうもろこしだけでなく、生のとうもろこしも販売されており、地元農家のおばちゃんとの会話も楽しみのひとつです。「毎年買うてくれてありがとう」「いっつもおばちゃんに来てくれてありがとう」と茹でているそばで汗をかきながら笑顔での対応に、美味しさも倍増します。
土日になると渋滞がおきるほど人気のきび街道。午前中の早いうちに行かないと売り切れなんてこともしばしばで、畑のとうもろこしがなくなる9月頃にきび街道も終わりです。夏の味を今年も存分に味わいたいものです。
(大賀美穂)