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アネモメトリ -風の手帖-

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#269

心のゆたかさを育む六花亭
― 北海道帯広市

札幌に在住して28年。生まれも育ちも名古屋人の私にとって、北海道といえば六花亭のホワイトチョコレート。小学生の頃、父親が札幌への出張がある度に買って帰ってくれた、当時はまだ珍しかった白いチョコレート。北海道の雪のイメージを彷彿とさせ、わくわくし、別世界を感じさせてくれたことを思い出します。

六花亭 ホワイトチョコレート。2012年よりまくら木をモチーフにした食べきりサイズにリニューアルされ、板チョコタイプは現在製造されていません 写真提供:株式会社六花亭

六花亭 ホワイトチョコレート。2012年よりまくら木をモチーフにした食べきりサイズにリニューアルされ、板チョコタイプは現在製造されていません
写真提供:株式会社六花亭

私に想像する楽しみを教えてくれた六花亭の始まりは、1933年7月の帯広市で、千秋庵総本家からのれん分けするかたちで帯広千秋庵として開店したことに始まります。1961年に現六花亭の代名詞ともいえる、山岳画家・坂本直行氏が描いた北海道の山野草を使った花柄包装紙が使用されるようになり、1968年11月にはふきのとうが描かれたパッケージのホワイトチョコレートが日本で初めて製造販売されました。1977年5月には社名を現在の六花亭に変更し、社名変更記念菓子として、現在も人気の「マルセイバターサンド」が誕生します。

北海道を代表する六花亭のお菓子たち

北海道を代表する六花亭のお菓子たち

「おいしいお菓子を作ろう たのしいお買物の店を作ろう みんなのゆたかな生活を作ろう そして成長しよう」を基本方針に歩んできた六花亭は、1989年4月には有給休暇100%取得開始を掲げ、1992年の坂本直行記念館(現六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村)開館を皮切りに、多数のアートに関する施設を開館してきました。お菓子とともに人の心をゆたかに育んでいこうとする精神性は、北海道十勝地方、145,000平方メートルの広大な敷地内に多数の美術館やレストランが点在する「六花亭アートヴィレッジ 中札内美術村」に現れています。この施設の美術館の一つ、北の大地美術館にすべての応募作品を展示する自画像コンクール「二十歳の輪郭」や、札幌市真駒内にある六花亭の図書館・六花文庫に作品が収蔵される公募展「六花ファイル」などからは、作家を育て、人々の生活をよりゆたかにしていこうとする企業の意志を感じることができます。

ガーデンから見た六花亭札幌本店

ガーデンから見た六花亭札幌本店

帯広を中心に展開してきた六花亭ですが、2015年7月には札幌本店をオープンしました。JR札幌駅南口から徒歩5分、北海道の山野草を植栽したガーデンが四季折々の表情を見せてくれるこの店舗は、10階建ての自社ビルです。

六花亭本店1F 六花亭製品販売店舗 写真提供:株式会社六花亭

六花亭札幌本店1F 六花亭製品販売店舗
写真提供:株式会社六花亭

2F喫茶室

六花亭札幌本店2F 喫茶室
写真提供:株式会社六花亭

6Fふきのとうホール

六花亭札幌本店6F ふきのとうホール
写真提供:株式会社六花亭

1Fが六花亭製品の販売店舗、2Fが喫茶室、5Fがギャラリー柏&ラウンジ極楽、6Fにふきのとうホール、10Fにきたこぶしホールを備え、より広い視野で地域に根ざしながら、人とともにゆたかさを育んでゆく企業へと成長しています。ここを訪れておいしいお菓子をいただくだけでも、六花亭の企業理念が垣間見えてくることでしょう。

取材協力
六花亭商事株式会社 札幌本店長 川村賢吾様
株式会社六花亭 文化広報部

参考
六花亭「 施設のご案内 六花亭 札幌本店」、https:// www.rokkatei.co.jp/facilities/札幌本店-9/(2024年10月20日閲覧)。

六花亭「沿革」、https:// www.rokkatei.co.jp/recruitment/outline/history/(2024年10月20日閲覧)。

六花亭「文化活動」、https://www.rokkatei.co.jp/cultual/(2024年10月20日閲覧)。

Wikipedia「マルセイバターサンド」、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89(2024年10月20日閲覧)。

Local Network Magazine colocal「六花亭の包装紙の挿画を鑑賞。『花柄包装紙館(六花の森)』で季節の草花と森に包まれる」、https://colocal.jp/odekake/54378.html(2024年10月20日閲覧)。

(古月真奈美)