アメリカ食文化の代表といえばハンバーガー! 確かに、いつでもどこでも食べられるのはハンバーガーです。夕食の支度が面倒ならばピザ! 小腹が空いたらピザというのもありです。ピザは最早、堂々たるアメリカ食文化の一部となっています。
前置きはここまでに、今回はそんな2つを後ろに回し、さらに身近なアメリカンフード「ホットドッグ」のお話をしたいと思います。
言わずもがな、ホットドッグは肉加工品を使った食べ物です。国内の、大概どこでも買うことが出来て、丁度ソーセージがすっぽり収まる切り込み入りのパン、“専用”のドッグバンズに挟んで食べます。独立記念日やバーベキューの定番で、ケチャップとマスタードをかける人、ピクルスやオニオンをトッピングする人、ソーセージだけをパンに挟んで食べる人とそれぞれ。調理法は、グリルだけでなくボイルする場合もあります。基本はソーセージとパンのみで構成されるため、様々な食べ方ができるという訳です。
ホットドッグとニューヨーク市といえば、1916年からコニーアイランドで行われる大食い選手権が有名ですが、街中のホットドッグ・スタンドやフードカーも、典型的な光景といえるでしょう。マンハッタンのアッパーイーストサイドにある専門店「パパイヤキング」は、そんな人気スポットのひとつです。ギリシャ系移民であるオーナーが、まずブルックリン地区にトロピカルジュースの販売店を開きます。その後40年代にマンハッタン地区にも出店し、ホットドッグは後からメニューに追加されました。ホットドッグはニューヨークの、いえアメリカのアイコニックな存在となり、「パパイヤキング」同様のスタンドは、それを真似た店名を冠して、市中のあちこちに開店しました。 この夏、その歴史ある店舗がいよいよ閉店するとのアナウンスが出ています。一抹の寂しさはありますが、独立記念日にパクリと頬張るお決まりのホットドッグ文化は、何が起きても結局受け継がれていくような気がして、その一端を担った「パパイヤキング」も、人々の記憶の片隅から消えることはないように感じるのです。
参考
Adrienne Sylver/Elwood H. Smith. Hot Diggity Dog: The History of the Hot Dog. New York: Puffin Books, 2010
Adam Platt, “A Final Taste of the Tropics – Visiting Papaya King on the eve of its probable destruction.”, New York, August 1-14, 2022, pp.54-55
Papaya King, a Hot Dog Pioneer on the Upper East Side, Faces a Possible End-New York Times
https://www.nytimes.com/2022/07/07/dining/nyc-papaya-king-hot-dog.amp.html
National Hot Dog & Sausage Council
http://www.hot-dog.org
(福寿美佐)